工事代金の前払い防止など具体策を示さず 鹿児島県屋久島町・補助金不正請求事件

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補助金返還の再発防止策を告示
工事進捗の報告や複数課での工事管理を徹底

検査調書2
屋久島町が国に提出した虚偽の検査調書。工事が未完成なのにもかかわらず、虚偽の工事完成日を記載して、「契約図書に基づき良好に施工されている(合格)」としていた

 鹿児島県屋久島町が「口永良部地区簡易水道施設整備事業」で国から補助金を受ける際に、虚偽の工事完成日などを報告した補助金不正請求事件をめぐり、荒木耕治町長は615日、地方自治法が定める「必要と認める措置」として、検討委員会がまとめた再発防止策を告示した。工事の進捗状況を報告する「工事月報」提出の徹底や、複数課による工事監督や完成検査の実施などの対策を決定。一方、工事が未完成の段階で、工事代金を業者に前払いした問題など町役場内の事務手続きについては、「法令遵守徹底を指導」などとしただけで、具体的な再発防止策は盛り込まれなかった。

虚偽報告を放置し、約1668万円の返還命令

 この問題は、2020年度に実施した同事業で、工事が未完成なのにもかかわらず、町が「すべての工事が終わった」とする虚偽の報告書を提出して、国から補助金を不正受給したことが発端だった。その後、荒木町長は虚偽報告の事実を国に報告することなく約7カ月間にわたって放置したうえ、工事を終えていない業者に対し、工事代金を前払いするなどの法令違反も発覚(*1)。最終的に町議会は同事業の決算を不認定とし、厚生労働省は20223月に加算金を含む補助金約1668万円の返還命令を町に出した。

 その不正請求を受け、町は2月に「屋久島町水道工事管理検討委員会」を設置。日高豊副町長が委員長を務め、総務課長 、政策推進課長、建設課長、生活環境課長、鹿児島県建設業協会の屋久島支部長の計6人で再発防止策を検討してきた。
荒木町長20220613
補助金不正請求の再発防止策について町議会に報告する荒木耕治町長(2022年6月13日、屋久島町議会、同町議会 YouTube チャンネルより)

補助金返還の最大要因は「業者の工事遅延と債務不履行」

 告示された報告書によると、決算が不認定になった理由として、「一部工事が未竣工であったにも関わらず、工事請負代金を支出していたこと」と「業者へのペナルティや職員に対する対応等について意見が出された」ことだと説明。工事代金の前払いについては、早期に工事を終わらせるとの報告を業者から受け、前年度の会計を閉める「出納閉鎖」直前の2021528日に支払日を設定したが、業務多忙や新型コロナウイルスの影響で現地確認ができない状況で支出したことが原因だとしている。

 それを踏まえ、「本事案発生の原因」として、「請負業者による工事請負契約の遅延による債務不履行が最も大きな要因」だと結論づけた。

工事管理の徹底など具体的な対策を5項目

 再発防止策としては、工事関連で5項目を列挙。「工事打合せ簿や月報の適切な提出を求め、工事進捗状況を把握し、絶えず工期の確認を行う」ことや、「工事監督及び検査に関する規程を制定」して、水道工事を担当する生活環境課に加えて建設課が連携することで、工事の進捗や完成を「ダブルチェック」する体制づくりなどを実行するとしている。
メイン写真)5工区
最も工事が遅れた業者が町に提出した「工事月報」。2020年11月分で工事出来高「12.00」%と報告したのが最後で、それ以降は提出がなく、実際に工事が終わったのは2021年9月だった

工事代金の前払い防止などは無策、「法令遵守徹底を指導」「職員の資質向上」のみ

 一方、工事代金の前払いや虚偽報告を長期にわたって放置した問題など、町役場内の事務手続きについては、具体的な対策は示されなかった。

 報告書では1項目を挙げ、「全職員に対し法令遵守徹底を指導するとともに、職員の資質を向上させ、再発防止に取り組む」と説明。今回の事案を全職員の問題と捉え、「法令や補助金要綱、特に会計事務を正しく理解し、適正な事務を執り行うように指導」などとするのみで、どのようにして不適な支出を防ぐのかという報告はなかった。

町議会で「検討をやり直してほしい」と批判

 同検討委員会については、、町幹部と工事業者の代表だけで構成されており、町議会で「全員が当事者で第三者性がない」と指摘されていた。613日に開会した町議会6月定例会でも、この報告書に対して、一部の町議から厳しい意見が出された。

真辺真紀町議は、なぜ工事代金を前払いして、虚偽報告を長期間にわたって放置したのか、まったく検証されていないとして、「本質を全然ついておらず、(検討を)やり直してほしい」と批判した。

今回の報告は、地方自治法の定めに従って出された。同法2337項では、決算が不認定になった場合、「必要と認める措置を講じたときは、速やかに、当該措置の内容を議会に報告するとともに、これを公表しなければならない」と定められている。

*1)  地方自治法232条の5「普通地方公共団体の支出は、債権者のためでなければ、これをすることができない」に違反する形で、町は工事を終えていない業者に工事代金を支払った。

■屋久島町が告示した再発防止策

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