【視点】屋久島町の信用を損なう「お手盛り」監査 海底清掃事業・住民訴訟
町長と町役場の利益を守る弁護士、住民監査請求でも法的判断をして請求棄却
「監査する側」と「監査される側」が一体化
【上中】屋久島町「ふるさと納税」のロゴ(町ウェブサイトより)【下】屋久島町役場
屋久島町が「ふるさと納税」の寄付金を活用して実施した海底清掃事業に対する住民監査請求で、町監査委員が法的な判断を仰いだ弁護士事務所が、荒木耕治町長の出張旅費着服事件や、町職員の過重労働死で町が訴えられた損害賠償請求訴訟で代理人を務めている――。
この事実が屋久島ポストの取材で判明したことで、町とは一線を画し、公正公平かつ独立した形で行うべき屋久島町の監査が、実質的には町役場と一体化して、「内輪」で実施されていたことが明らかになった。「監査する側」の監査委員が、「監査される側」の町と懇意にしている弁護士事務所に相談をすれば、その監査結果が町側の利益に偏った内容だと疑われるのは当然である。
住民監査請求と住民訴訟に同じ弁護士事務所が関与
今回の海底清掃事業に対する住民監査請求で町は、総事業費1700万円の大半が海底清掃ではなく、屋久島の観光情報を紹介するガイド冊子や動画の制作に使われたのは、寄付金の使途を定めた町の条例に違反しているなどとして、荒木町長ら幹部3人に1700万円を賠償請求するように求められた。
それを受けて、町監査委員は鹿児島市の弁護士法人「和田久法律事務所」の協力を受けて町を監査し、住民の請求を棄却。この監査結果を踏まえて住民訴訟が提起されたが、その訴訟でも、和田久法律事務所が町の代理人を務めている。
今回の監査を裁判に例えれば、「被告の代理人弁護士」と「裁判官」を同一の法律家が務めたようなもので、「被告」にあたる町に有利な結果になることは明らかである。
荒木町長の旅費着服事件などでも代理人
2019年末に発覚した荒木町長による約200万円の出張旅費着服事件では、この和田久法律事務所の弁護士が代理人となり、報道対応や調査などを担当した。さらに、町営牧場で町職員が過重労働の末に亡くなったことを受けて、職員の遺族が町を相手取り、2023年10月に提訴した約7000万円の損害賠償請求訴訟でも、同事務所の弁護士が町の代理人をしている。
つまり、屋久島町にとって、和田久法律事務所は町長や町の利益を守る立場の弁護士事務所だということである。
監査の法的相談、町役場とは全く関係ない弁護士事務所に
監査委員は地方自治法によって設置が定められた機関で、地方自治体の財務や事業について監査をするのが責務だ。いわば自治体の「監視役」であり、首長や議会などから独立した形で、住民の公金が適切に使われているかどうかを監査することが求められる。
それにもかかわらず、監査委員が町役場に極めて近い弁護士事務所に法的な相談をすれば、公正公平であるべき監査の信用を損なうことは明らかだ。
町監査委員事務局によると、これまでにあった補助金不正請求と町長交際費をめぐる2件の住民監査請求でも、今回と同じ和田久法律事務所に法的な相談をして、監査結果報告書を作成したという。
この事実を踏まえると、屋久島町の監査委員は「お手盛り」の監査をして、町役場の意に沿った監査結果を導き出していると疑われても仕方がないだろう。今後の監査では、荒木町長や町役場とは全く関係がない弁護士事務所に相談するべきである。