安房大ホールの存続に暗雲、改修工事3億5000万円で予算超過/屋久島ポスト

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町、予算的に改修工事は排煙設備のみ → 空調なしでも改修計画を進めるのか否か検討へ

担当課長「老朽化した施設に多額の予算は投じられない」

老朽化で大ホールが閉鎖されている屋久島町総合センター=屋久島町安房、屋久島ポスト撮影
 

 屋久島南部地域の安房にある屋久島町総合センター大ホールの存続に暗雲が立ち込めている。

 大ホールを所管する町社会教育課は10月1日、老朽化したホール内の排煙と空調設備の改修費が約3億5000万円の見込みになり、予算超過で空調の改修ができないことを屋久島ポストの取材に明らかにした。これまで荒木耕治町長は、早期の改修を求める住民の声を受けて「できるだけ早く改修できるよう進める」と町議会などで約束。だが、空調がきかない状態でホールを利用するのは現実的ではなく、このまま改修工事を進めるのか否か、町は苦しい判断を迫られている。

排煙設備の改修だけで約1億円
 同課によると、今年3月から改修工事の基本設計をした結果、当初は6500万円程度と見込まれていた排煙設備の改修費が約1億円になることが判明。さらに空調設備も改修すると計約3億5000万円になることから、町としては「予算的に排煙設備の改修しかできない」と判断したという。

 これを踏まえ、荒木町長の指示で同課は9月29日、安房大ホールの存続を強く求める屋久島町文化協会の関係者と面会。予算不足から排煙設備の改修しかできないことを説明したうえで、それでもこのまま工事を進めるのかどうか、意見を求めたという。

屋久島町総合センター大ホールの存続をめぐる意見交換会で、住民と向かい合う荒木耕治町長ら町幹部=2024年9月26日、屋久島町安房の安房公民館、屋久島ポスト撮影

荒木町長、廃止方針を一転して存続を約束
 この問題をめぐって町は当初、北部地域の宮之浦にホール機能などを備えた「屋久島町多目的交流センター」を建設する計画があることから、老朽化が進む南部地域の安房大ホールは廃止する方針だった。

 だが、文化施設が北部だけに集約されると南部からの利用が不便になることから、安房校区(永久保、船行、松峯、安房、春牧、平野)の区長会が2024年7月、安房大ホールの存続を求める陳情書を町に提出。これを受けて荒木町長は方針を一転させ、大ホールの存続を町議会や住民との意見交換会で約束していた。

 町への陳情書で安房校区の区長会は、「全町民が平等かつ公平に利用できる」文化施設の整備を要望。もし安房大ホールを廃止するのであれば、これから建てる多目的交流センターは宮之浦ではなく、南北両地域の中間地点で、町役場がある小瀬田地区に建設することを求めている。

町、将来的に文化施設は一つに集約の方針
 社会教育会課の佐々木修課長は取材に、「町としては将来的に文化施設を一つに集約する方針で、老朽化した施設に多額の予算を投じることはできない」と説明。予算的に安房大ホールの改修は排煙設備だけになるため、それでも工事計画を進めるのかどうか、早急に検討する必要があるとしている。

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