安房大ホール、役場内で食い違う利用方針 宮之浦・多目的交流センター整備事業
町民課長「具体的に検討していない」➡ 政策推進課、宮之浦・多目的交流センターに「集約化」
町公共施設個別計画とは違う議会答弁
【上】屋久島東部の安房地区にある屋久島町総合センター【下】屋久島町役場
屋久島東部の安房地区にある屋久島町総合センターの大ホールをめぐり、同センターを所管する町民課長が今年3月の町議会で、今後の利用方針は「具体的に検討していない」と説明していたことがわかった。町公共施設の再配置を進める政策推進課は、将来的に安房大ホールの利用は廃止し、ホール機能は島北部の宮之浦地区に建設する「多目的交流センター」に集約する予定で、町役場内で方針が食い違う事態となっている。
「屋久島町議会YouTubeチャンネル」で配信された議会動画によると、「安房大ホール」に関する発言は3月7日に行われた施政方針説明の質疑に対する答弁のなかであった。
2024年度の施政方針説明をする荒木耕治町長(2024年3月7日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより)
中馬町議「改修か? 別なものか?」
まず初めに、荒木耕治町長は2024年度の施政方針説明で、安房の総合センター2階に子育て支援センターが開設されていることを踏まえ、「今年度は1階部分に基幹相談支援センターや各福祉団体が集うフリースペースを設置し、福祉の拠点として利活用したい」と述べた。
それに対する質疑で中馬慎一郎町議は、大ホールの今後の利用方針について「改修するのか、また別なものにするのか」と質問した。
屋久島町総合センター大ホールの利用方針について質問する中馬慎一郎町議(2024年3月7日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより)
町民課長「改修に多額の経費」
答弁に立った町民課の鶴田洋治課長は、大ホールについて「現在消防のほうから、大勢の人を今の現状では入れてはいけないということになっている」と説明。今後、改修した場合は多額の経費が必要になるとしたうえで、現段階では「具体的にはまだ検討していない」と述べた。
屋久島町総合センター大ホールの利用方針について、「具体的に検討していない」と答弁する町民課の鶴田洋治課長(2024年3月7日、屋久島町議会YouTubeチャンネルより)
公共施設個別計画、安房大ホールは利用廃止の方針
その一方、公共施設の再配置を進めている政策推進課によると、将来的に安房大ホールは利用を廃止する方針がすでに固まっているという。町が2021年3月に作成した「屋久島町公共施設個別計画」では、「屋久島町総合センター(安房)」のホール機能は宮之浦に建設する多目的交流センターに「集約化します」と明記。現在、宮之浦にある屋久島離島開発総合センターは老朽化が進んでいることを踏まえ、「体育館兼文化ホール複合施設への建替えを検討します」とされている。
安房大ホールの将来的な利活用をめぐり、町民課長は「具体的に検討していない」と述べる一方で、政策推進課は宮之浦の多目的交流センターに「集約化する」。町役場は早急に方針を固めたうえで、住民への丁寧な説明が求められている。
屋久島町総合センター(安房)などの再編・整備方針が示された「屋久島町公共施設個別計画」の添付資料。「ホール機能は新施設に集約化します」と明記されている(※赤丸は屋久島ポストが加工)