【取材後記】真の原因を究明しない町役場/編集委員会
屋久島町は今年最初に発行した「町報 やくしま」(1月号)で、2020年度の決算報告を見開きで掲載しました。そのなかで、厚生労働省にうその「工事完成日」などを報告して、国から補助金を受け取った口永良部島の水道工事の決算について、次のように報告しています。
「(前略)一部工事が、年度内完成予定の工期を大幅に逸して完成したにもかかわらず、工事代金を工事完成前に支払ったことから、議会より適正な事務手続きを行っていないとの指摘を受けて、不認定となりました」
ここまで読んで、今回、町は正直に事実を報告するのだと感じました。ところが、そのあとに続く説明を読むと、「またか」と落胆してしまいます。
「このような事案が発生した原因は、現場確認の不足や事務の怠慢があったと認識しており、二度と発生しないよう、現場確認及び事務確認の徹底に努めるなど再発防止に取り組んでまいります」
問題の核心は「うその報告」
つまり、「現場確認の不足」と「事務の怠慢」が原因だというのですが、果たしてそうでしょうか。この二つが、問題の背景にあるのはわかります。しかし、今回の問題の核心は、うその事業実績報告書を提出して、国から補助金を受け取ったことです。「確認不足」や「事務怠慢」があったとしても、国にうその報告をした事実を知った段階で、荒木町長ら町幹部が国に報告していれば、ここまで問題は大きくなっていませんでした。
要するに、この問題の原因は、公文書にうそを記載したうえ、さらに、その事実が判明しても、そのうそを放置する屋久島町役場の「体質」にあるのです。
出張旅費不正でも原因を究明せず
これは、一連の出張旅費不正問題をみても明らかです。出張旅費の精算書に実費より高い航空運賃が記載され、架空の領収書が添付されていることが判明しているのに、荒木町長は積極的に調査をしませんでした。そして、町を監視するはずの町議会も、不正を調査する百条委員会の設置案を3回も否決し、町役場のうそを放置する結果となりました。
今回の町報で、町が国にうその報告をした事実は、一つも書かれていません。これでは、真の原因を究明したことにはならず、いずれまた、同じ過ちを起こす可能性があります。
問題が起きたら、徹底した調査で原因を究明し、再発防止につなげる。こんな基本中の基本ができないようでは、いまの屋久島町には、年間で130億円を超える予算を任せることはできません。