国に「年度内に工事完成予定だった」と実現不可能な報告か? 鹿児島県屋久島町・補助金不正請求事件
町と業者が確認、残り85%の工事を5日間で「完成予定」
実際の工事完成は5カ月後
鹿児島県屋久島町が同町の水道整備工事で国に補助金を申請する際に、すべての工事が完成したと虚偽の報告をした補助金不正請求事件をめぐり、最も工事が遅れていた第5工区について、2021年3月末の時点で、実際には工事の約85%が未完成だったことがわかった。町は2020年度内の同月末までに工事が終わることを完成検査で確認していたと厚生労働省に報告しているが、その完成検査があった同月26日からは5日間しかなく、事実上、残りの工事を完成させるのは不可能だった。厚労省に提出した報告書の信頼性に疑問符がつく事態となった。
工事の15%終了で「工事完成」と報告
この問題を受けて、町が2022年3月1日に厚労省に提出した報告書によると、補助金の申請期限だった2021年3月末の時点で、最も工事が遅れていた5工区では、総事業費3768万1000円分の工事のうち、552万1000円分しか完成していなかった。これを事業費ベースで換算すると、工事の完成度は約15%で、残りの約85%は工事が終わっていなかったことになる。
それにもかかわらず、町は2021年3月末までにすべての工事が完成したとする虚偽の報告書を提出し、国から総額1億1800万円の補助金を受け取った。
町、業者と確認「年度内に工事完成」
その理由として、国への報告書で町は「請負業者から遅延の報告が無く、また、離島のため現地確認が随時できなかったことから、完成検査時において初めて工事が完成していないことが判明」したと釈明。さらに「当時の担当者は、請負業者と協議し、年度内に工事が完成することを確認」したと説明している。
つまり、補助金申請の期限だった2021年3月末までに、すべての工事が終わる予定だったため、町は「工事完了」の事業実績報告書を提出して、国から補助金を受け取ったということだ。
だが、これまでの屋久島ポストの取材で、工事の完成検査が実施された同年3月26日の時点で、実際には複数の工区で工事が終わっていなかったことがわかっている。なかでも、最も遅れていたのは5工区で、今回の国への報告書から、約85%におよぶ大半の工事が終わっていなかったことが判明。2020年度末の2021年3月31日までは、検査日からわずか5日間しかなく、「年度内の工事完成」は不可能だったとみられる。そして、実際にすべての工事が終わったのは5カ月後の9月上旬だった。
屋久島町が国に提出した工事完成を証明する「検査調書」。実際には工事の15%しか完成していなかったが、2021年3月19日に工事が完成したなどと虚偽の記載をしていた
「85%を5日間で完成は可能か?」、町は認識を明言せず
国への報告書について、工事を担当した町生活環境課は屋久島ポストの取材に「当時の担当者から聴き取ったことを国に報告した」とする一方、業者の認識に関しては「聴き取りはしているが、詳細については今後の精査が必要だ」としている。また、残り約85%の工事を5日間で完成させることは可能か否かを尋ねたが、町としての認識は明言しなかった。
問題となった水道工事は、2020年度に同町の口永良部島で実施され、補助金を受給するには2021年3月末までに工事を終えることが条件だった。町の虚偽報告を受けて、厚労省は2022年3月に補助金の返還命令を通告し、町は加算金を含む計約1668万円を返還している。
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