【被告 答弁書】虚偽の請求書で虚偽の支出命令書を起票 屋久島町補助金不正・住民訴訟

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担当職員、工事未完成の「請求書」を根拠に2300万円を前払い

担当課長は前払いの事実を認識か?

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【虚偽の請求書と支出命令書】
工事が未完成の段階で出された業者の請求書(左)。5月6日付で請求され、約2300万円を支払う支出命令書(右)が即日で起票された

 屋久島町が水道工事で国に補助金を申請する際に虚偽の「工事完成日」などを報告して、国から補助金1668万円の返還命令を受けたのは町幹部の責任だとして、町に対して荒木耕治町長ら幹部3人に損害賠償を命令するように町民が求めた住民訴訟――。


工事未完成で「やむなく」工事代金を支払い

 鹿児島地裁に提出した答弁書で町は、工事が完成していないにもかかわらず、約2300万円の工事代金を請負業者に「やむなく」支払った経緯を詳細に説明している。

 その答弁書によると、最終工期の令和3331日が過ぎたあとも、担当職員は業者と連絡が「なかなか」取れなかったという。その後、やっと連絡がついた現場監督者から「5月中には完成予定」と報告を受けたため、56日に工事代金の支出命令書を起票。前年度の予算を支出する最終期限である5月末日までに支払いをするため、支払日を528日に設定し、予定どおり同日に支払った。

 しかし、実際には5月中に工事は終わらなかった。そして、最終的に工事が完成したのは94日で、職員がその事実を確認したのは99日だったという。

荒木町長、工事完成を確認せずに決裁印

 なんとも、いい加減かつ杜撰な予算の執行だが、この工事代金の前払いに関する記述で見逃せないのは、次の一文である。

<なお、これら事情ついては(原文ママ)、決裁に関与した総務課長、副町長、町長には一切説明がなかった。>

 つまり、荒木町長や日高豊副町長は工事が終わっているものだと信じて、約2300万円の支払いを決裁したため、幹部に責任はないということだ。だが、これだけ問題になった補助金の工事でありながら、工事の完成を確認せずに決裁印を押すことは、まともな行政機関であれば考えられないことで、その管理責任は極めて重いといえる。

支出命令書の印鑑
【工事完成を確認せずに押した決裁印】
約2300万円を工事業者に前払いする結果となった支出命令書には、荒木耕治町長や日高豊副町長らが押印しているが、工事の完成を確認せずに決裁したという

担当課長に「前払い」説明していた可能性

 そして、もう一つ見逃せないのは、工事を担当した生活環境課の矢野和好課長(当時)に対しては、「一切説明がなかった」と書かれていないことだ。これは言い換えると、矢野課長には事情説明をしていたとも理解できる。だが、このあとの記述で、矢野課長が前払いの事実を知っていたか否かの説明は一切なく、前払いに対する矢野課長の認識は不明なままである。

請求書と支出命令書
工事業者が屋久島町に提出したとされる請求書(左)と担当職員が起票した支出命令書(右)。この請求書を根拠に作成した支出命令書によって、工事が未完成の段階で約2300万円が支出された

虚偽有印公文書で刑事事件の可能性も

 この工事代金の前払いについては、このほかにも不信な点がある。職員が支出命令書を起票したのは令和356日だが、それと同じ日付で担当業者の社長が工事代金の「請求書」を町に出しているのだ。

 町の答弁書によると、業者とは「連絡もなかなかつかないまま、時間が経過」したとあり、その時点では工事は未完成だった。だが、屋久島ポストが入手した請求書をみると、工事の完成年月日は「令和3326日」、請求日は「令和356日」とされ、請求金額には「一金
23,021,000円也」と記載。黒塗りで非開示になっているが、「請負者」の欄には業者の社長が押印しているとみられる。

 実際には工事が未完成だったことを踏まえれば、まさに虚偽の請求書であり、職員はこの請求を根拠に支出命令書を起票している。つまり、約2300万円を前払いする結果となった支出命令書を起票した行為には、虚偽有印公文書作成・同行使の疑いがあり、刑事事件になる可能性があるということである。

 町の答弁書のなかから、工事が未完成の段階で、工事代金を業者に前払いした問題に関する記述を以下に抜粋する。答弁書で担当職員は実名で記載されているが、記事では「職員B」と匿名にする。( )内の説明は屋久島ポストが補足した。

    

工事の未完成 町長や副町長に「一切説明がなかった」

 しかしながら、実際には5工区の工事についてはその後も進捗はなく、担当者であった職員Bからの連絡も(担当業者の社長に)なかなかつかないまま、時間が経過し連絡が取れた時点において5工区の現場監督者から最終的には5月中には完成予定であるとの報告を受けた。職員Bは、出納整理期間内の支払いをするためやむなく、56日に工事請負費のうち完成払いに係る支出命令伝票を支払日528日に設定し起票した。なお、これら事情ついては(原文ママ)、決裁に関与した総務課長、副町長、町長には一切説明がなかった。

前払い)答弁書
屋久島町が提出した答弁書では、工事が未完成の段階で工事代金を前払いした経緯が詳細に説明されている

支払い後に現場確認 完成は「全工程の3分の2程度」

 最終支払日である令和3528日、5工区の完成払い
23,021,000
円を支払った。

 しかし、その後も、職員Bは、屋久島島内の水道管理業務や年度内の作業繰りができないことから、口永良部への踏査ができず、やっと531日に現地を確認したが、目視で、全工程の3分の2程度は完了していたが、路面に切り込みを入れているものの路面を剥がし作業していない状態であったため、当該請負業者に早急に完成させるよう指示した。

工事完成は「令和394日」 担当職員の確認は「99日」

 請負業者は、早急に終わらせると話をしたものの、職員Bが令和3614日に再び現地確認を行った際にも大きな進展は見られなかった。(中略) 結果、令和394日に工事は完成し、99日に職員Bが現地で完了の確認を行った。

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  1. 有権者1

    通常の工事は工事監理を行い進捗状況を業者側(以下、乙)から提出及び報告を受けるものです。
    また長期や請負金額が高額な場合など、中間検査、出来高検査、引継ぎ検査などが行われるのが殆ど(契約内容に差異があるもの)です。
    業者も業者ですが補助金受ける側の屋久島町の責務不履行が主因ではないですか?
    何れにしても最高責任者の荒木町長ほか担当者の責任は避けられないでしょう?
    これについての法務担当者は如何様な解釈をされてるかお訊きしたい。
    公平中立立場の法務担当者、偏り判断はしてませんよね?

  2. 安房よかにせ

    これまでに屋久島ポストで報じられた口永良部地区簡易水道工事に関する事務的な流れを時系列でまとめると、以下のようになります。
    工事完成年月日         令和3年3月19日
    検査下命日           令和3年3月19日
    完成検査年月日         令和3年3月26日
    職員Aの処分に関する打合せ    令和3年4月14日
    嘘の完成払い請求年月日     令和3年5月6日
    支出命令書起票日      令和3年5月6日
    嘘の完成払い年月日       令和3年5月28日
    突っ込みどころ満載の中で一番腑に落ちないのが、工事請負業者が町の完成検査が終わった3月26日からなぜ一ヵ月以上も経過した5月6日に工事代金の請求をしたのかというところです。
    約2300万円もの大金です。普通に考えれば、町の完成検査が終わったらすぐに請求するのではないでしょうか。
    いずれにしても、嘘で塗り固められた日付で一連の書類が作られていることが裁判の場で明らかになるでしょうから、町当局の主張は、砂上の楼閣のごとく崩れ去ること間違いないと思います。
    また実績報告書に添付する検査調書ですが、昨年(2021年)は決裁欄の黒塗りをしていなかったのか、当時の担当課長、総務課長それに副町長、町長まではっきり押印しているのがわかります。
    確か答弁書では、下記のように主張していました。
    <矢野は(工事が)未完成であることは知らなかったし、矢野が実績報告書を提出した事実もない。荒木と日高(豊副町長)が事実と異なる実績報告書について国に報告することなく放置し隠ぺいした事実もない。事実と異なる実績報告書の提出は、前記したように職員Aが伺いを立てることもなく独断で行ったものである。>
    2021年11月09日付屋久島ポストの記事に、その検査調書の写しが掲載されていますのでご覧ください。
    http://blog.livedoor.jp/yakushima_post/archives/27866618.html

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