「覚悟はあるのか」と迫る暴走討論【検証・岩山討論】(8) 屋久島町新ごみ処理施設

yakushima-post

議会討論を逸脱 個人「標的」に名指しで非難議長「個人攻撃はダメ」と厳重注意

検証・岩山討論8
屋久島町議会の予算審議で、個人攻撃をする討論をしたとして、厳重注意を受けた岩山鶴美町議(2023年3月24日、同町議会YouTubeチャンネルより)

 屋久島町の新ごみ処理施設の建設費をめぐる予算審議で、同町議会の岩山鶴美町議は、自分とは異なる意見や行動を名指しで否定、批判する「個人攻撃」をしたとして、石田尾茂樹議長から厳重注意を受けた。

   町議会の存在意義は、町民からの多種多様な意見を集めて議論することだが、今回の岩山町議の討論は、言論の府である屋久島町議会を否定するものといえる。

   この問題を検証する連載の8回目は、岩山町議が町議1人の個人名を挙げて、同施設の予算案に反対する「覚悟を持っているのか」と迫った「岩山討論」について考えたい。

    

 どんな議会討論でもそうだが、賛成と反対で意見が分かれるとき、それぞれの主張は尊重されなくてはいけない。各議員が主張すべきは、その問題に対する賛成または反対の理由であり、自分と異なる意見を一方的に非難することは、民主主義の根幹である「表現の自由」を否定することになる。

公取委も町も疑問視する無効入札

 ところが岩山町議は3月の町議会で、新ごみ処理施設の建設費が盛り込まれた予算案に反対した真辺真紀町議に対して、反対する「覚悟は持っているのか」と迫った。その理由として、この予算案に同施設以外の事業費が計上されていることを挙げたが、岩山町議に先立って、真辺町議は「他の一般会計の予算には賛成する」と明確に言っている。

 真辺町議を含め、複数の町議が反対した理由は、同施設の建設費を決めた入札について、公共事業の談合などを調査する公正取引委員会が「競争が働いたと言い切れない」「町は入札業者に事情を聴く必要がある」と疑問視しているからだ。それを受け、真辺町議らは町に対して、入札業者に事情を聴くように求めたが、荒木耕治町長が応じないために反対しているのである。

価格競争のない入札

 今回の入札では、落札額の上限となる予定価格が事前に公表されていた。そして、入札に参加した2社のうち1社が予定価格を15億円上回る金額を提示し、意図的な無効入札で失格になった。その結果、もう1社は予定価格とほぼ同額で落札し、価格競争がないまま同施設の建設費が決まってしまった。

岩山町議の「暴走」を議長が「緊急停車」

 この経緯を踏まえれば、不正があったか否かは別にして、せめて業者に事情を聴くべきだという主張は、受け入れられて当然だろう。それゆえ、町もこの入札に疑問を持っており、業者に事情を聴くことを約束している。

 真辺町議1人を「標的」にして、議場で名指したうえで一方的に非難したのは、さらに輪をかけて問題だ。それゆえ、石田尾議長は「岩山議員、個人的なことは攻撃してはダメです」と、わざわざ議場で厳重に注意したのである。

 こうなっては、もう議会討論ではない。岩山町議は「暴走列車」であり、それを石田尾議長が「緊急停車」させたのである。つまり、岩山町議の発言は討論ではなく、特定の個人を攻撃することが目的だったということだ。

【動画】屋久島町議会の予算審議で、特定の個人を攻撃する討論をしたとして、議長から厳重注意を受けた岩山鶴美町議(2023年3月24日、屋久島町議会、同町議会YouTubeチャンネルより)


■検証・個人攻撃「岩山討論」記事一覧



■岩山鶴美町議の関連記事


新ごみ処理施設建設 関連記事



To TOP PAGE 



メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

  1. 情けない

    議員歴も2期目になりながら、議会規
    則も討論の主旨すら理解していない事に先ず驚きます。
    これからは出者張らず、自分の議席にジーッと座って居る事です。
    「雉も鳴かずば撃たれまいに」と言う諺も有ります。
    折角、もらった議席です、残り2年大事にして下さい。

  2. 町民

    新しいゴミ処理施設を作るなとは言わないが、議員も施設の内容をしっかり調べてから賛成反対を述べて貰いたいもんだ、施設の維持費でどれだけ予算使っているのか、税金使ってるって意思がどの議員も低すぎると思う

関連記事
これらの記事も読まれています
記事URLをコピーしました