【取材後記】一審までに21万円 控訴審の訴訟費用も町民が負担へ 屋久島町補助金不正請求・住民訴訟

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荒木町長、実質的な「勝訴」でも控訴して訴訟費用を浪費

高裁、最高裁と「完全勝訴」まで法廷闘争を続けるのか?

【取材後記】二つの訴訟
【中央上】屋久島町が国に補助金を申請する際に提出した虚偽の検査調書【中央下】荒木耕治町長が国会議員らに贈答した高級焼酎「三岳原酒」【左】世界遺産・屋久島をPRする東京での催しに参加した荒木町長【右】補助金不正請求事件の取材に屋久島空港で応じる荒木町長


 この人は「町民の公金」を「自分の財布」だと思っているのだろう。補助金不正と町長交際費。二つの住民訴訟を取材していて、つくづくそう実感する。

 水道工事の補助金返還命令をめぐる住民訴訟で、屋久島町の荒木耕治町長は915日、自身を含めた町幹部に対する約135万円の賠償命令を認めた鹿児島地裁の判決を不服として控訴した。しかし、原告住民が賠償請求した約1668万円のうち、地裁が認めたのは1割弱で、そのほかは棄却された。賠償額的には、その大半にあたる約1553万円の請求が退けられており、荒木町長にとっては実質的な「勝訴」である。

「裁判所の判断に従う」と答弁していたのに

 さらに20229月の町議会一般質問で、荒木町長は「裁判所の判断に従う」としたうえで、幹部や職員への対応として「損害賠償請求あるいは懲戒処分といったしかるべき対応を取る」と答弁している。

実質的な「勝訴」に「裁判所の判断に従う」という議会答弁。この二つを踏まえれば、素直に一審判決に従うのが筋であろう。

 それにもかかわらず、荒木町長は控訴を決めた。そうなると、自身の主張がすべて認められ、完全勝訴するまで住民訴訟を続けるということになる。そうであれば、荒木町長は町議会一般質問で、こう答弁するべきだったのではないか。

「幹部や職員に法的責任がないという判決が出るまで裁判で争う」

訴訟費用は町民の公金から支出

 当然のことだが、裁判なので控訴する権利は誰にでもある。だが、訴訟を続けるとなると、さらなる訴訟費用が町民の公金から支出されることを忘れてはならない。

 今回の住民訴訟では、計6回にわたって法廷が開かれており、そのすべてに原告と被告の両者が出席している。町の代理人は2人なので、屋久島から鹿児島地裁に日帰りで出張したとしても、次のような出張旅費が発生する。

 出張11人について、高速船料金13500(往復)、日当2200円、交通費2000円で計17700円。それが6回で106200円。さらに2人となると、出費は212400円にもなる。

訴訟を担当した職員の人件費も相当額

 これに弁護士の代理人を立てていたら、とんでもなく高い金額になるところだが、幸いに町の指定代理人は法務事務専門員と総務課職員がやっている。だが、この2人はかなりの労力と時間を6回の裁判に費やしており、その間は、本来やるべき通常業務をすることができなかった。その人件費を考えると、さらに数十万円を支出したのと同等になり、屋久島町民が失った公金は相当な金額となる。

 そして、これが控訴審になれば、住民訴訟の舞台は宮崎市にある福岡高裁宮崎支部に移る。屋久島からだと日帰りは無理なので、さらなる日当や交通費、そしてホテルの宿泊費も必要となり、鹿児島地裁での裁判より、もっと高額な出費を強いられることになる。

宮崎地方裁判所2
福岡高裁宮崎支部(宮崎市、Wikimedia Commons より)

町民と大きく乖離した荒木町長の「社会常識」

 さらに、補助金不正の住民訴訟と並行して、町長交際費訴訟の審理も鹿児島地裁で進んでいる。

 この訴訟は、荒木町長が続ける国会議員らへの高額な贈答が違法な支出だとして、原告住民が約200万円を賠償するように求めたものだ。そして、その贈答内容を詳細にみると、荒木町長と一般町民の「社会常識」や「社会通念」が、この上なく大きく乖離していることがわかる。

知人社長に焼酎60本贈って10万円

 例えば、荒木町長が2019611日に知人の社長に贈答した記録をみると、1回の贈答で焼酎の「三岳」や「愛子」など60本を贈り、計108630円を支出。また、同年5月24日には「屋久杉万年筆・ボールペンセット」を贈り、10万8000円を町民の公金から出している。

焼酎贈答
荒木耕治町長が知人の社長に焼酎60本を贈り、10万8630円を支出した際の記録文書

平等な裁判官も金額や回数「多いという印象」

 そのほかにも、国会議員らへの高額贈答が数多くあり、原告と被告の双方に平等である裁判官も、さすがに金額や回数が「多いという印象」と指摘。そして町に対し、黒塗りで隠してきた国会議員の個人名や、贈答目的などを説明するように求めている。

さらに宮崎での控訴審に数十万円

 補助金不正と町長交際費。この二つの訴訟を取材するなかで、荒木町長は公費と私費の区別ができない首長だと、明確に確信するようになった。町議会で「裁判所の判断に従う」と答弁し、実質的に「勝訴」したにもかかわらず、さらに控訴審で争うというが、その訴訟費用を負担するのは、私たち屋久島町民だ。一審判決が出るまでに、人件費を除いて少なくとも約21万円の公金が使われており、これに福岡高裁宮崎支部での訴訟費用を加えたら、さらに数十万円の公金が浪費されることになる。

荒木町長、町民の財布で続ける法廷闘争

 この調子だと、もし町長交際費訴訟の判決で賠償命令が出れば、荒木町長はまたもや控訴するのだろう。そうなると、二つの訴訟費用だけで、町民の公金から100万円以上が無駄に消えることになる。

 果たして、荒木町長は満足できる判決が出るまで、高裁、最高裁と、ずっと法廷闘争を続けるのだろうか。屋久島町民、みんなの財布から訴訟費用を引っ張り出して。

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  1. 正しく判断

    旅費の不正使用の時といい、国会議員への高額の贈答品といい、
    公費の支出であれば全く金銭感覚が有りません。
    仮に自己負担でも控訴しますか?
    控訴審は一年以上は掛かります。
    その時まだ首長で居られるでしょうか?
    自己の立場をカモフラージュする為の負けを覚悟の戦いを挑む姿勢を許す訳には行きません。
    経費の無駄遣いになるから、恐らく次の首長は取り下げて判決を受け入れる事間違い有りません。
    その事を頭にいれながら、正しい選択をするつもりである。

  2. たった一票の有権者ですが

    荒木町長だけは絶対再選させてはならないと強く強く思って居ます。

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