【取材後記】尊い町民の命に真摯に向き合わない屋久島町長の非情 町営牧場 過重労働死訴訟

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公務災害の認定後 町で調査もせずに「過重労働はなかった」の一点張り

数々の不正と不祥事も調査せずに放置の無責任
田代さんと荒木町長③

【左】屋久島町営牧場での過重労働による公務災害で亡くなった田代健さん(遺族提供)【右】田代さんの遺族から提訴された屋久島町の荒木耕治町長(あらきこうじ後援会ウェブサイトより)


 「町は過重労働があったのかどうか調査すべきだった」

 屋久島町営牧場で過重労働の末に亡くなった町職員の田代健さん(当時49)の遺族が1019日、屋久島町(荒木耕治町長)を相手取り、約7000万円の損害賠償請求訴訟を提起したが、その際に遺族側代理人の立野嘉英弁護士(大阪弁護士会)が発した指摘が忘れられない。民間の労働災害にあたる公務災害が認められたにもかかわらず、どのような勤務管理がなされていたのかについて、町が一切の調査をしていないことを批判したのだ。

町、実際より極端に短い勤務時間の記録を指示

 荒木町長ら町幹部は「町としては、過重労働はなかったという認識」だと主張しているが、その根拠となるのは、町が田代さんに指示をして、実際より極端に短い勤務時間を書かせていた勤務日誌だけだ。そこには167時間の勤務時間が記載されているのだが、実際には毎日10時間を超える労働をしており、その内容は事実無根な虚偽の記録である。

公務災害 認定理由でも町の勤務管理の杜撰さを指摘

 また、過重労働による公務災害と認定した地方公務員災害補償基金の鹿児島県支部も、「時間外勤務を含めた業務配分を現場の職員に任せ、そもそも業務命令権者として主体的に勤務時間を管理する体制になっていなかった」として、町の杜撰な勤務管理の実態を指摘している。町の指示で残された虚偽の勤務日誌を踏まえ、公的機関である同基金がそう指摘しているのであれば、町は過重労働があったと認めざるを得ないはずだ。だが、町は独自の調査をすることなく、何の客観的な根拠もない自分たちの「認識」だけで、過重労働の事実を否定しているのである。

不正調査せずに責任から逃れる荒木町長

 これまで屋久島町では数々の不正や不祥事があったが、独自の調査がなされたことは一度もなく、荒木町長ら町幹部はすべての責任から逃れようとしてきた。

 山海留学の体罰問題では、被害を報告した児童の保護者を門前払いした町教育総務課の課長を不問にした。入山協力金3000万円の横領事件では、町の管理責任を棚に上げて、すべての責任を横領した集金スタッフに押し付けた。虚偽領収書を使った出張旅費の不正精算問題では、岩川浩一副町長(当時)ら町職員がどのような経緯で領収書を入手したのかなどについて、一切の調査をしなかった。

地裁が責任を認めても不服で控訴

 さらに、国に虚偽報告をした水道工事の補助金不正請求事件では、町は補助金1680万円を返還した責任を工事業者に転嫁して、「町に法的責任はない」と主張。それを受けて、荒木町長らの責任を問う住民訴訟が提起され、鹿児島地裁は不正調査などをしなかった町幹部の責任を認め、荒木町長ら3人に約135万円を賠償請求することを町に命じた。それに対し、町は一審判決を不服だとして、高裁に控訴している。

 山海留学の体罰、入山協力金横領、出張旅費不正精算の虚偽領収書、補助金不正請求、そして町営牧場での過重労働死。それらすべてに共通するのは、荒木町長が不正調査をしないまま、それぞれの問題を放置してきたことである。
立野弁護士①
田代健さんの遺影を前に記者会見する遺族側代理人の立野嘉英弁護士(2023年10月19日、鹿児島県庁記者クラブ)

人命に関わる問題でも調査せずに放置

 それにしても、よくもこれだけ多くの問題について、自治体として調査もせずに平気でいられるものだと呆れてしまうが、それが荒木町長の政治姿勢だということである。しかし、町営牧場での過重労働死は、尊い人の命が失われた極めて重大な問題であり、その他の問題と同列に論じるわけにはいかない。

 その点について、立野弁護士は記者会見でこうも指摘した。

(調査は)トップの指示、指揮の基に行われるものだが、この間、そういったことが一向に(荒木)町長を含め、なされてこなかったということは、非常に残念であり、ご遺族も訴訟せざるを得なくなったと考えている」

 つまり、荒木町長の指示で調査をしていれば、訴訟は避けられた可能性があるということである。

人の道を踏み外したまま町長選に出馬へ

 だが、荒木町長は「過重労働はなかった」の一点張りで、遺族に謝罪するどころか、田代さんの死が公務災害に認定された事実すら、町議会などで報告していない。これでは、あまりに非情な対応であり、人の道を大きく踏み外した態度だと言わざるを得ない。

 こんな荒木氏が1024日、4期目をめざして屋久島町長選に出馬するようだが、どんな思いでマイクを握って支持を訴えるのか。遺影で笑顔をみせる田代さん一人の命に対して、真摯に向き合うことができない人物に、屋久島町民12000人の将来を託すことはとてもできない。

■屋久島町営牧場 過重労働死問題 記事一覧


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  1. 勇気ある人はいるか?

    荒木候補の選挙戦に、どんな人達が応援して、どんな人達が応援演説のマイクを握るのか極めて興味深々である。
    現職擁護の議員で堂々とマイクを握るのは誰か?
    衆目に晒されながら、どんな内容で称えるのか?
    握ったら最後、君たちの明日は無い。
    人命の無視を手初め、数件の住民訴訟を受けるような杜撰な行政運営をするような人物を、議会議員として応援するのであれば、資質はもとより、
    その資格さえ無いと言われても当然である。
    さあ~誰かなー

  2. 再選は島の恥

    完全に逃げの一手を貫くのは国会議員の常套手段。
    貢ぎ物でそんな手解きでもありましたか?
    不正の数々、訴訟の数々があり乍ら、何がなんでも再選しなければならない理由があるのでしょうか?
    落ちて貰わないとこの島(島の住民)は笑い者になります。
    皆さん、告知から選挙当日迄目を光らせて居ましょう。

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