町長交際費が激減 最盛期の126万円から16万円に 屋久島町長交際費問題
2023年度、ピーク時から9割減 国会議員らへの贈答0円
5年間で60万円支出の森山衆院議員にも贈答なし
【上】町長交際費で贈答された屋久島産の焼酎【下左】国会議事堂(Wikimedia Commons より)【下中央】屋久島町の荒木耕治町長【下右】鹿児島県庁(Wikimedia Commons より)
屋久島町の荒木耕治町長が2023年度に使った交際費は計約16万円で、過去6年間の支出額と比べて、大幅に減ったことがわかった。最も多かった2019年度の約126万円からは、約9割の減少。これまで続けられてきた国会議員らへの高額な贈答は1件もなく、町民の公費が大きく節約される結果となった。
2023年度、贈答には8万8170円支出
屋久島町がウェブサイトで公表した町長交際費の支出記録によると、2023年4月~2024年3月に荒木町長が支出した交際費は計15万9170円。このうち慶弔を除いた贈答には、8万8170円が支出された。毎年恒例で続けられてきた国会議員や鹿児島県知事らへの贈答は1件もなく、姉妹都市へのたんかんやパッションフルーツなど、季節の贈り物が大半を占めた。
屋久島町のウェブサイトに掲載された2023年7月の町長交際費支出。姉妹都市にパッションフルーツを贈り、1万2420円が支出された
2019年度と比べて110万円の大幅減
この2023年度の交際費を2017~2022年度の各支出と比べると、大幅に減少したことがわかる。
屋久島ポストが情報公開請求で入手した交際費の支出記録などによると、最も多かったのは2019年度の125万9425円。これと比べて、2023年度は110万255円、87.4%減少した。また、次に多かった2017年度の92万8115円より、76万8945円、82.9%の減少となった。
3年間で50万円支出の知人社長にも贈答なし
続いて、過去6年間の支出内訳をみると、焼酎や魚介類、季節の果物などが頻繁に贈られており、主な贈答先は国会議員や鹿児島県知事、荒木町長の知人社長らだった。
そのなかでも、特に多かったのは自民党の森山裕衆院議員(鹿児島4区)への贈答で、その支出は少なくとも15件で約60万円。2019年5月には焼酎36本の贈答で9万7299円、2021年3月には焼酎24本で6万8500円を、それぞれ支出していた。
荒木町長が贈答したイセエビ(上左)、屋久杉箱入り焼酎(上中)、屋久島産の焼酎(下)、屋久杉万年筆(右端)
また、荒木町長の知人社長への贈答では、2019~2021年度の3年間で約50万円を支出。特に目立つのは1件で10万円を超える贈答で、2019年6月には焼酎60本に10万8630円、同年5月には屋久杉万年筆などに10万8000円を、それぞれ支出した。
荒木町長、出張「手土産」に4500円也
その一方で、2023年度に贈答で支出したのは8万8170円。大半が姉妹都市の青森市や大分県日田市、熊本県菊陽町への贈り物で、国会議員らに対する贈答は1件もなかった。また、荒木町長が9月に出張した際には、「視察研修に伴う手土産」として、4500円を支出した。
屋久島町のウェブサイトに掲載された2023年9月の町長交際費支出。荒木町長の「視察研修に伴う手土産」として、4500円が支出された
住民訴訟の提訴後、国会議員らへの贈答中止
町長交際費をめぐる問題は、屋久島ポストが2022年8月に初めて報道し、荒木町長は当初の取材に「今後は金額や頻度を改めていきたい」と話し、不適切な贈答だったことを認めていた。だが、その直後の9月議会でこの問題を指摘されると、荒木町長は一転して交際費に対する見解を翻し、「妥当な支出」だったと主張した。
それを踏まえ同年11月、住民が交際費の一部返還を荒木町長に求める住民訴訟を提訴。鹿児島地裁は2024年3月、住民の請求を却下および棄却する判決を言い渡した。だが、その一方で、荒木町長は提訴されて以降、国会議員らへの贈答をすべて中止した。
■町長交際費の支出額(2017~2023年度)
・2017年度 92万8115円
・2018年度 88万1304円
・2019年度 125万9425円
・2020年度 89万577円
・2021年度 67万4230円
・2022年度 30万3560円
(※報道後に贈答が減少)
・2023年度 15万9170円