荒木町長の旅費着服を調査した弁護士にも公金で果物を贈答 屋久島町長交際費問題
町長個人が不正調査を依頼した法律事務所と弁護士にタンカンなど計1万1800円分
荒木町長「町では調査できない搭乗記録などを調べてもらった」
【上】出張旅費の不正精算について謝罪する屋久島町の荒木耕治町長。この記者会見には町長個人が調査を依頼した弁護士も同席した(2019年12月26日、屋久島町内のホテル)
【下】屋久島名産のタンカンとポンカンの贈答箱
屋久島町の荒木耕治町長が自身の裁量で支出できる交際費を使い、過去5年間に約370万円分の贈答品を贈っていた問題をめぐり、2019年末に発覚した荒木町長の出張旅費着服問題で、町長が個人的に調査を依頼した法律事務所と弁護士に季節の果物を贈答していたことがわかった。この旅費着服で荒木町長が起訴猶予処分となった2020年9月以降に計3件贈っており、自身の旅費着服問題を調査した弁護士に対して、町民の公金で贈答した格好だ。荒木町長は「町では調査できない搭乗記録などを調べてもらった」としているが、旅費着服に対する調査に謝意を示すための贈答であり、町民の批判が高まるのは必至だ。
起訴猶予処分の決定後にポンカンとタンカンを贈答
屋久島ポストが町に開示請求した交際費の支出記録によると、荒木町長が果物の贈答をしたのは鹿児島市の和田久法律事務所と所属する弁護士。2020年12月に3800円のポンカン(5kg)1箱、2021年2月に4000円のタンカン(5kg)2箱をそれぞれ送り、計1万1800円を支出した。3件のうち2件は事務所宛で、残りの1件は送り先の住所や氏名がすべて黒塗りされており、調査を担当した弁護士の個人宅に贈ったとみられる。
約200万円着服、完全否定から一転して記者会見で謝罪
荒木町長の出張旅費着服問題は、2019年12月の町議会一般質問で初めて指摘された。出張のために購入した普通運賃の航空券を空港で払い戻し、格安の高齢者割引で買い直して、その差額を着服する手法だが、当初、荒木町長は完全否定していた。だが、一部の町議や報道に追及されると、年末に町内のホテルで記者会見を開き、一転して不正精算を認めて謝罪した。

屋久島町議会の一般質問で、航空券の高齢者割引の利用を否定する荒木耕治町長(2019年12月10日、※字幕は屋久島ポストが挿入)
弁護士も記者会見に同席
その記者会見に同席したのが、荒木町長が個人的に調査を依頼した和田久法律事務所の弁護士だ。航空会社に搭乗記録の開示を求めたり、町の出張記録を調べたりして、不正精算の調査を担当した。その結果、着服額が約200万円だったことが判明し、荒木町長は全額を町などに返還。町民から刑事告発を受け、2020年9月に検察で詐欺の容疑事実が認められたが、減給などで社会的制裁を受けたとして、検察官が起訴を免除する起訴猶予処分となった。

荒木耕治町長が調査を依頼した弁護士も同席して開かれた出張旅費不正精算に関する記者会見(2019年12月26日、屋久島町内のホテル)
荒木町長「今後も相談する機会もある」と贈答
荒木町長が条例に違反して起きた旅費着服問題で、その調査を個人的に依頼した法律事務所と弁護士に対して、町民の公金で贈答することが認められるのか。
荒木町長は取材に対し、町総務課を通じて「町では調査できない搭乗記録などを担当者と連携し調べてもらい、精算事務が(2020年)5月までに終わった」と説明。さらに「その後も職員を対象とした(住民団体による出張記録の)開示請求もあり、(鹿児島県)町村会が紹介する弁護士事務所であり、今後も相談する機会もある」という理由で、ポンカンとタンカンの時期に合わせて贈答したとしている。
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