海底清掃問題

総事業費2000万円から大幅減額 今年度は300万円に 屋久島町・海底清掃事業

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「主任研究員」らの人件費や企画コーディネート費などを削減

業務委託先は東京の業者から地元組合に
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【上】2022年度の事業で海底ごみを回収するダイバーたち(屋久島町YouTubeチャンネルの動画「海・山・川の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」より)【下】屋久島町役場と屋久島町「ふるさと納税」のロゴ(町ウェブサイトより)


 ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、屋久島の観光情報などを伝える冊子や動画の制作費に支出された問題――。

 同事業の3年目となる2024年度の総事業費が大幅に削減され、約300万円にまで減額されていることが屋久島ポストの取材でわかった。2022年度は約1700万円、2023年度は約2000万円だったが、2024年度は「主任研究員」らの人件費や企画コーディネート費などが削られ、全額を清掃の活動費に支出。業務の委託先も、東京の業者から地元の屋久島スキューバダイビング事業者組合に変更された。(※事業費の金額は税込み)

過去2年、JTBパブリッシングとオーシャナが特命随意契約

 この事業は、海底清掃活動を主体とする「海・川・山の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」で、旅行大手JTBの出版部門を担当する関連会社「JTBパブリッシング」(本社・東京都江東区)が企画を提案し、2022年度に事業を実施。2023年度は潜水業者「オーシャナ」(本社・東京都中央区)が事業を引き継いだ。両社は複数の業者が参加する競争入札を経ることなく、町と独占的に特命随意契約を結んだ。

22年度1700万円➡23年度2000万円24年度300万円

 町の情報公開制度で入手した同事業の見積書によると、2024年度の総事業費は2976600円で、内訳は海底清掃の4回分に1207580円、海岸清掃の2回分に1064800円、河川清掃の3回分に704220円。過去2年間の総事業費と比べると、2022年度の16989918円から14013318円、2023年度の1991万円から16933340円が、それぞれ大きく減った。


全事業費を清掃活動だけに支出

 また今回から、業務委託先は東京の両社ではなく、町内のダイビング業者などでつくる屋久島スキューバダイビング事業者組合に変更。さらに、過去2年間に支出していた「主任研究員」らの人件費や企画コーディネート費、観光情報を伝えるガイド冊子や動画の制作などの予算計上はなく、全事業費が清掃活動だけに支出されることになった。

 海底、海岸、河川での各清掃活動に支出される事業費は以下のとおり。

海底清掃費(1207580)

・潜水士:日給45650円 延べ12人分に547800

・船チャーター:111万円 4日分に44万円

・ごみ回収処理:127500円 4日分に11万円

・一般管理費:109780
2024年度)海底
2024年度事業の海底清掃に関する見積書(※金額は税抜き)

海岸清掃(1064800)

・作業員:日給33000円 延べ16人分に528000

・船チャーター:111万円 2日分に22万円

・ごみ回収処理:111万 2日分に22万円

・一般管理費:96800
2024年度)海岸
2024年度事業の海岸清掃に関する見積書(※金額は税抜き)

河川清掃(704220)

・作業員:日給17600円 延べ24人分に422400

・ごみ運搬:117600円 3日分に52800

・ごみ処理:155000円 3日分に165000

・一般管理費:64020
2024年度)河川
2024年度事業の河川清掃に関する見積書。上記は1回分の事業費で、年3回の実施を予定している(※金額は税抜き)

22年度の事業は「条例違反」として住民訴訟に

 この海底清掃事業をめぐっては、これまでの町議会定例会で「事業費の支出に違法性がある」などとして、一部の町議が複数の問題を指摘してきた。

 2022年度の事業では、総事業費の大半が環境保全ではなく、屋久島の観光情報を伝える広報事業に支出されたのは、ふるさと納税の寄付金の使途を定めた「屋久島町だいすき寄附条例」に違反するなどとして、渡辺千護町議が住民訴訟を提起。町に対して、総事業費の約1700万円を荒木耕治町長ら幹部3人に損害賠償請求するように求めている。

23年度は研究しない「主任研究員」らに人件費340万円

 さらに2023年度の事業では、「主任研究員」や「研究員」らの人件費として約340万円が支出されたが、実際には研究活動が行われていなかったことが判明。渡辺町議が町議会の一般質問に立ち、「主任研究員」らの詳細な活動報告を求めたが、担当の観光まちづくり課は具体的な説明を避けている。

2022年度 JTBパブリッシング作成の見積書
2022年度見積書
2022年度の事業でJTBパブリッシングが屋久島町に提出した見積書(非開示部分は町が黒塗り、モザイクは屋久島ポストが加工)

2023年度 オーシャナ作成の見積書
2023年度見積書
2023年度の事業でオーシャナが屋久島町に提出した見積書(非開示部分は町が黒塗り、モザイクは屋久島ポストが加工)

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