遺族、連続50日間の勤務は「強い負荷」と主張 屋久島町営牧場 過重労働死訴訟
町、50日間のうち7日間は2時間勤務で「実質的に休日」➡
遺族、厚労省専門検討会の報告など根拠に「連続勤務による負荷が強かった」
地方公務員災害補償基金「業務負荷は相当程度に強度」と評価
【上右】鹿児島地裁(裁判所ウェブサイトより)【下】屋久島町役場
2019年8月に屋久島町営の長峰牧場で町職員だった田代健さん(当時49)が公務中に死亡し、過重労働で心筋梗塞を発症したことによる公務災害と認定されたことを受けて、田代さんの遺族が屋久島町(荒木耕治町長)を相手取り、慰謝料など約7000万円の損害賠償を求めた民事訴訟――。
この訴訟の第5回口頭弁論で、田代さんが約50日間の連続勤務の末に亡くなったことについて、遺族側は厚生労働省が設置した専門検討会の報告などを根拠に「連続勤務による負荷が強かった」と主張した。これまで町は、約50日間のうち7日間は1日2時間の勤務で「実質的に休日に等しかった」としていた。
町、50日間の連続勤務は「負荷が大きかったとはいえない」
町が鹿児島地裁に提出した準備書面によると、田代さんが亡くなる前の約50日間を連続で勤務していたことについて、町は約50日間のうち7日間は「午前6時から午前8時までの2時間勤務だった」として、「実質的に休日に等しかった」と主張。それを踏まえ、田代さんの約50日間の連続勤務は「これによる負荷が大きかったとはいえない」としていた。
新労災認定基準「7日を超える場合には負荷要因」
それに対し遺族側は、厚労省が設置した「脳・心臓疾患の労災認定の基準に関する専門検討会」が「休日のない連続勤務が長く続くほど業務と発症との関連性をより強める」と報告しているとしたうえで、同省の新労災認定基準でも連続勤務は「7日を超える場合には負荷要因として考慮する」と指摘されていると主張。約50日間の連続勤務のうち、7日間は1日2時間の労働だったとしても、「総合的に考慮すれば、疲労が回復するに足りる十分な休日は確保されていなかったといえることは明らかであり、連続勤務による負荷が強かったと評価すべきである」と反論した。
公務災害認定でも「通常の日常の勤務に比較して特に過重な職務に従事していた」
2023年2月、田代さんの公務災害を認定した地方公務員災害補償基金の鹿児島県支部(支部長:塩田康一・鹿児島県知事)は、田代さんが亡くなる3日前の2019年8月5日まで約50日間の連続勤務だったことを踏まえ、「本人の業務負荷は相当程度に強度であったと考えられる」と評価。さらに、亡くなるまでの半年間で全く業務を行っていない日が5日だったことも考慮すると、「通常の日常の勤務に比較して特に過重な職務に従事していた」と認めている。
「7日間は2時間勤務であるから実質休日である」とは、なんと心ない解釈だろう。
本来、ご本人の休日であったが、人手が足りない状況を知っているために休日にもかかわらす、手伝いに来たものだと思われる。
職員を募集しても応募がなかったことから充分推察できる。
現実に一人の人間が亡くなっていることを考えると、これほど人間味の欠片も感じない自治体も珍しい。
仮に一審で原告勝訴が出ても控訴することは予想されるが、やめることをお勧めしたい。
そうでなければ、世間の笑い物である。。