町「高血圧症」「長期の喫煙歴」などで公務災害の認定理由を否定 屋久島町営牧場 過重労働死訴訟
町、心筋梗塞の要因は「高血圧症」「長期の喫煙歴」など ➡ 遺族「正常値の範囲内」「2年半前に喫煙をやめた」として「過重業務が要因」
公務災害認定「公務が有力な原因となって心筋梗塞を発症し、死亡に至った」
【上左】屋久島町営長峰牧場の衛星写真(Google Earth より)【上右】鹿児島地裁(裁判所ウェブサイトより)【下】屋久島町役場
2019年8月に屋久島町営の長峰牧場で町職員だった田代健さん(当時49)が公務中に死亡し、過重労働で心筋梗塞を発症したことによる公務災害と認定されたことを受けて、田代さんの遺族が屋久島町(荒木耕治町長)を相手取り、慰謝料など約7000万円の損害賠償を求めた民事訴訟――。
この訴訟の第5回口頭弁論で、田代さんの「高血圧症」や「長期の喫煙歴」などが心筋梗塞の要因だとする町の主張に対し、遺族側は血圧などの数値が「正常値(基準値)の範囲内かそれをわずかに超える程度」であり、亡くなる2年半以上前に喫煙をやめているとして、心筋梗塞の要因は牧場における「過重業務」であると反論した。
町、高血圧や喫煙などで「相乗的に心筋梗塞を発症」
町が鹿児島地裁に提出した準備書面で、田代さんの病院での診療記録を基に指摘した心筋梗塞の主な「危険因子」は次のとおり。
「高血圧症」「脂質異常症」「耐糖能異常」「長期間の喫煙歴」
これらの「要因」を踏まえ、町は「多数の動脈硬化の危険因子を有しており、かつ、これらが重複することで相乗的に虚血性心疾患(心筋梗塞など)を発症する危険性が高い状態にあった」と主張していた。
それに対し遺族側は、町が指摘する「危険因子」について、以下の反論をした。
高血圧症 ➡「過重業務で重症化」
「本件の過重業務に従事する以前は、高血圧の診断基準である収縮期140mmHg/拡張期90mmHgをほぼ下回っていたところ、本件発症直前に重症化しているのは、まさに被告における過重業務が要因というべきであり、これを業務外要因と位置付けることはできない」
脂質異常症 ➡「過去の一時点の数値」
心筋梗塞を発症する3年半以上前の2016年1月に「正常値の範囲をわずかに超えているのみ」であり、「過去の一時点の数値をもって、動脈硬化を含む本件発症への有意な影響を推認することは到底できない」
耐糖能異常 ➡「正常値の範囲」
「正常値の範囲であり、これを業務外要因として考慮することはできない」
長期間の喫煙歴 ➡「2年半以上前に喫煙をやめた」
町は田代さんが「1日当たり20本程度の煙草を15年間に渡り喫煙していたと申告しており、長期間の喫煙歴がある」と指摘するが、亡くなる2年半以上前の2017年初めには喫煙をやめたと申告しており、2019年8月の「本件発症について、これを業務外要因として考慮することはできない」
これらの反論を踏まえ、遺族側は「これら(の危険因子)を複数指摘したところで、これらが相乗的に作用して虚血性心疾患(心筋梗塞など)を発症する危険性が高かったとはいえないことは明らかであって、被告の主張は失当である」と主張した。
専門医師、心筋梗塞の発症は「公務が有力な原因」
2023年2月、田代さんの公務災害を認定した地方公務員災害補償基金の鹿児島県支部(支部長:塩田康一・鹿児島県知事)は、同基金支部の専門医師の「知見」として、田代さんの「業務による肉体的負荷は強度なもの」であり、「公務が有力な原因となって心筋梗塞を発症し、死亡に至ったと判断することが妥当である」と指摘している。
後出しじゃんけんは卑怯です。
職員の健康管理は行き届いていたのかと逆に問われます。やぶ蛇です。
そこまで否定して闘う姿には、ただ呆れるばかりです。
人の心をお持ちですか?