当初の主張から変遷する町推計の時間外労働時間 屋久島町営牧場 過重労働死訴訟

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遺族、死亡前6カ月間の月平均時間外労働「82時間20分」➡ 町、当初の「19時間15分」から推計「29時間15分」と主張を変更

地方公務員災害補償基金は長時間労働の過重労働死と認定
牧場訴訟メイン1

【上左】屋久島町営長峰牧場の衛星写真(Google Earth より)【上右】鹿児島地裁(裁判所ウェブサイトより)【下】屋久島町役場


 20198月に屋久島町営の長峰牧場で町職員だった田代健さん(当時49)が公務中に死亡し、過重労働で心筋梗塞を発症したことによる公務災害と認定されたことを受けて、田代さんの遺族が屋久島町(荒木耕治町長)を相手取り、慰謝料など約7000万円の損害賠償を求めた民事訴訟――。

 この訴訟の第6回口頭弁論が1217日にあり、田代さんが亡くなる前の6カ月間における時間外労働の1カ月当たりの平均時間について、被告の町は「29時間15分」だったと主張した。当初、町は「19時間15分」と主張していたが、原告の遺族が「82時間20分」と反論したことを受け、町が独自に労働時間を推計して主張を変更し、「恒常的な長時間労働は認められない」とした。

遺族、月平均80時間超で「過労死ラインを超えていた」

 これまで遺族は、田代さんの元同僚職員の推計を基に、死亡前6カ月間の時間外労働の月平均時間を「82時間20分」としたうえで、国の基準である「過労死ライン」(発症前26カ月間)に該当する1カ月当たり80時間を超えていたと主張。町に残された作業日報は、担当課の指示で週40時間の労働に収まるように記載されたもので、田代さんによる労働の「実態を反映したものとはいえない」としていた。

町、長峰牧場の作業は「過酷な肉体労働の業務とは大きく乖離」

 遺族の主張に対し町は、町に残された作業日報を根拠に、死亡前6カ月間の時間外労働の月平均時間は「19時間15分」と反論していた。

 ところが、この日の口頭弁論で、町は独自に田代さんの労働時間を推計し、死亡前6カ月間の時間外労働の月平均時間は「29時間15分」だったとして、当初の主張を変更。さらに、長峰牧場の作業は「一般的なイメージとして抱く過酷な肉体労働を要する牧場業務とは大きく乖離している」と指摘したうえで、田代さんの労働には「恒常的な長時間労働は認められない」とした。

地方公務員災害補償基金、勤務管理を怠った町の体制を指摘

 屋久島町の勤務管理体制について、地方公務員災害補償基金の鹿児島県支部(支部長・塩田康一県知事)は20232月に田代さんの公務災害を認定した際に、「時間外勤務が生じないことが所与の前提となっており、また、時間外勤務時間を含めた業務配分を現場の職員に任せ、そもそも業務命令権者として主体的に勤務時間を管理する体制になっていなかった」と判断している。

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