不正疑惑に「伝家の宝刀」:【検証 屋久島町政】(4) 出張旅費不正問題
町長の旅費不正問題などで百条委員会を提案
町議会 強い調査権で疑惑解明を
(この検証シリーズは毎週火曜日に掲載します)
住民の代表である町議会にうそをついてまで、シルバー割引を悪用した出張旅費の着服を隠そうとする議会答弁。その荒木耕治町長が隠す不正の事実を解明しようと、3人の町議が2019年12月17日に百条委員会(調査特別委員会)の設置を町議会に提案することにしました。
屋久島町議会の議場
百条委員会とは、地方自治体の不正などを調査するため、地方議会が決議によって設置できる特別な委員会です。地方自治法100条に基づくため、その名称で呼ばれています。とても強い調査権があり、関係者から事情聴取をしたり、証拠を提出させたりすることもでき、地方議会にとっては、いわば「伝家の宝刀」ともいわれています。
町議会でシルバー割引の利用を否定する荒木耕治町長(2019年12月10日)
荒木町長の虚偽答弁を町議会は追及できるのか――。
この百条委員会の設置案は、2019年12月17日の12月議会の最終日に審議されました。しかし、結果は圧倒的な反対多数で否決。結果論で言うと、屋久島町議会の大半の町議は、うそをつく荒木町長を守ったことになります。
▶今回のポイント
・町長の不正疑惑を調査するため、町議が百条委員会の設置を提案
・百条委員会は強い調査権を持ち、議会にとっては「伝家の宝刀」
・町議の過半数が賛成しなければ、百条委員会は設置できない
今回は、2019年12月15日に掲載した記事「町長の不正疑惑で百条委員会を提案へ 屋久島町議会」をみてみましょう。
*
屋久島町の荒木耕治町長に対して、町事業への参入を目指す業者が現金200万円を提供したと主張していることや、荒木町長が航空運賃のシルバー割引を利用して「出張旅費を着服している疑いがある」と指摘されている問題を受けて、町議3人が12月13日、百条委員会(調査特別委員会)の設置を求める決議案を町議会に提出した。12月17日にある町議会12月定例会の最終日に提案され、全町議による討論と採決を経て、設置の可否が決まる見通しだ。
現金授受の疑惑などについて、町議会一般質問で答弁する荒木耕治町長(2019年12月10日)
百条委員会の設置を発議したのは小脇清保町議。真辺真紀町議と渡辺千護町議が賛同している。
百条委員会は地方議会が決議によって設置する特別委員会の一つで、地方自治法100条に基づく。地方自治体の事務に関して調査権があり、関係者への事情聴取や証拠記録の提出などを求めることができる。調査への協力を拒否したり、虚偽の証言をしたりした場合は、罰則が科せられる。
百条委員会の事例としては、東京都の猪瀬直樹知事(当時)が徳洲会グループから現金5000万円を受け取ったとされる疑惑に対して、2013年12月に東京都議会が設置を決定。その後、猪瀬知事は辞職に追い込まれた。
*
▶今回の教訓:町長の不正追及は町議の責務
町民の期待を集めて町議会に提案された百条委員会の設置案でしたが、結果は反対多数で否決されてしまいます。多数決は民主主義の原則であり、それは仕方がありません。
でも、結果的には、この時に百条委員会を設置して、しっかり調査をしていれば、荒木町長に端を発した一連の旅費不正は、あれほど大きな問題には発展しなかったでしょう。
その意味では、屋久島町議会の責任は大変重いといえます。
■【検証 屋久島町政】記事一覧