取材後記

【取材後記】「不正があっても調査しない町」/編集委員会

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住民ではなく、町長に従う監査委員
取材後記

 屋久島町の荒木耕治町長に端を発した一連の出張旅費不正問題は、発覚から丸2年を迎えたいま、ようやく町監査委員による本格的な監査が始まりました。2014年度~2019年度にかけて、航空機を利用した出張について、退職者を含むすべての職員と町議会議員を対象に監査が実施されます。その数は120人ほどにもなり、旅費精算書に添付された領収書を旅行会社に照会する手間などを考えれば、この先、かなりの時間がかかると思われます。

不正調査を拒む町長と町議会

 しかし、あれだけ屋久島町を騒がせた問題なのに、どうして、これまで本格的な調査が行われなかったのでしょう。

 荒木町長が一部の町議から求められた第三者委員会の調査を拒否し続け、町議会も不正を調べる百条委員会(調査特別委員会)の設置案を3回も否決したことが、最も大きな要因です。でも、それだけではありません。町役場を監視する立場の監査委員が、目の前に不正の疑いがあると知りながら、自ら積極的に調査しなかったことも、さらに真相の解明を遅らせる要因となりました。

監査委員も不正調査に後ろ向き

 町監査委員の2人は、町役場のお金の使い方などについて監査するために、地方自治法に従って任命されています。荒木町長からは独立しており、町役場や町議会とは対等な立場で監査をすることができます。つまり、多くの町民に代わって、町の財務や事務について監視することが責務なのです。

 しかし、荒木町長や町議会に続き、その監査委員も不正調査には後ろ向きでした。住民監査請求が出されても却下し、不正の疑いがたくさんあると知っていても、自ら積極的に監査することはありませんでした。そして、最後の最後に荒木町長から求められても、半年間にもわたって、監査をせずに放置していました。

 これでは、町ぐるみで「不正調査はしたくない」と言っているのと同じです。

メイン)領収書

岩川浩一副町長(当時)が旅費精算書に添付した航空運賃の領収書。金額「¥72,220」と但し書き「鹿児島~名古屋航空券代」が実際とは違う内容だった

監査の核心は不正領収書

 遅きに失した感はありますが、やっと本格的な監査が始まりました。町議会で、代表監査委員は「来年3月には終える努力をする」と答弁しましたが、残り3カ月間でどこまで深い監査ができるのか。

 一連の旅費不正問題をめぐる監査の核心は、旅行会社が発行した不正な領収書です。それらの不正領収書がどのような経緯で発行されたのかを、詳細かつ具体的に解き明かさない限り、この旅費不正問題は解決したことにはなりません。

 荒木町長が第三者委員会の調査を拒み、町議会が百条委員会の設置を3回も否決した後の監査です。ここで中途半端な結果に終われば、屋久島町は「不正があっても調査しない町」というレッテルを自らに貼ることになります。

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