【取材後記】建設業者が驚く町議への「注意」/編集委員会
「産廃を燃やして『注意』はあり得ない」
「どう見ても、あれは産廃だ」
「産廃を燃やして『注意』はあり得ない」
「業者がやったら罰金命令が出て、営業停止になるぞ」・・・・・・
鹿児島県屋久島町の岩山鶴美町議(64)が産業廃棄物を焼却処分した問題を報じると、記事を読んだ複数の建設業者が驚いて、こんな声を寄せてくれました。
違法と知って廃棄と焼却
本人も認めているとおり、岩山町議が廃棄して焼却処分したのは、自身が所有する賃貸アパートのリフォーム工事で出た産廃です。廃棄物処理法では産廃の投棄や焼却は禁止されており、違反をすると、5年以下の懲役または1000万円以下の罰金が科せられます。岩山町議はそれを知っていて、不法な廃棄と焼却をする1年前の町議会では、世界自然遺産の屋久島の環境を守るために、ごみのポイ捨てや不法投棄に罰金を科する条例の制定を町長に提案しています。
つまり、岩山町議は産廃の投棄や焼却が違法だと認識していたにもかかわらず、その違法行為を自らしたのです。廃棄して燃やした場所が私有地であっても、違法であることに変わりはなく、岩山町議は廃棄物処理法に反する行為をしたことになります。
岩山鶴美町議が廃棄した廃棄物(2020年9月14日、屋久島町安房)=町民提供
産廃は有料でリサイクル業者が処理
ところが、この問題で警察の捜査を受けた岩山町議によると、検察からは罰金ではなく、「注意」を受けただけで終わったそうです。起訴猶予や嫌疑不十分といった不起訴処分でもなく、電話で「今回は注意ということになりました。以後、気をつけてください」と言われたということです。
それを知った業者が疑問を持つのは当然でしょう。日々の作業で出た産廃については、どの業者も有料で廃棄物リサイクルの処理業者に引き取ってもらっているからです。もし、自分で勝手に産廃を処分して、警察や検察の捜査を受ければ、罰金命令だけでなく、逮捕される可能性もあります。
さらに、実際に罰金命令を受けた町民からは、今回の岩山町議のケースについて、「捜査機関の判断は不公平だ」という声も出ています。
岩山鶴美町議が廃棄物を焼却処分した現場。畳や金属片などが燃え残ったまま放置されていた(2021年1月5日、屋久島町安房)=町民提供
「もう終わったこと」では済まされない
なぜ、岩山町議は「注意」で終わったのか。
その理由を鹿児島地検に尋ねても、「記者クラブ加盟社しか取材は受けない」と言われ、答えは返ってきません。それゆえ、多くの町民の疑問はずっと残り続けます。
岩山町議は私たちの取材に、「それはもう終わったことです」と言っています。検察から「注意」を受けて、それで「終わった」のだから、今さら何を問題にするのか、ということなのでしょうか。
しかし、それでは多くの町民は納得しません。岩山町議は町民から選挙で選ばれた公人です。さらには、町民の代表が集う町議会で、ごみのポイ捨てや不法投棄に罰金を科する条例の必要性を訴えた町議です。屋久島町議会議員のバッジを付けている以上、自分から詳細な説明をしない限り、「それはもう終わったこと」にはなりません。
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