「三岳原酒」だけPRは「極めて不平等」 屋久島町長交際費・住民訴訟
森山衆院議員へ贈答の焼酎138本 すべて「三岳原酒」➡ 原告住民「特定業者の利益のために公費が使われている」
住民、9月12日の口頭弁論で主張へ
【左上】屋久島町の荒木耕治町長【中央上】国会議事堂(Wikimedia Commons より)【右上】森山裕衆院議員(Wikimedia Commons より)【下】荒木町長が贈答した焼酎「三岳原酒」
屋久島町の荒木耕治町長が交際費で国会議員らに高額な贈答をしたのは違法な支出だとして、同町の住民が町を相手取り、荒木町長に贈答で使った約200万円を賠償請求するよう求めた住民訴訟――。
その贈答のなかで、自民党の森山裕衆院議員(鹿児島4区)に贈られた焼酎は計138本で、すべて高級焼酎の「三岳原酒」だったことがわかった。森山衆院議員に贈答する主な理由として、被告の町は「屋久島特産の焼酎のPR」(宣伝・広報)としているが、荒木町長は特定メーカー1社が製造する1銘柄のみをPRしていたことになる。この焼酎の贈答について、原告の住民は「極めて不平等」「PRではなく単なる贈答」などとして、屋久島町民の公費で贈答するのは不適切だと主張する方針だ。
「三岳原酒」のみ計138本で約38万円支出
住民が鹿児島地裁に提出した訴状によると、2017~2021年の5年間で、荒木町長は約38万円の交際費を支出して、森山衆院議員に屋久島産の焼酎を贈答した。その合計は138本で、贈答した銘柄は町内の焼酎メーカー「三岳酒造」が製造する「三岳原酒」だけだった。
町「屋久島特産の焼酎のPRをお願いする趣旨」
この「三岳原酒」の贈答について、町は「屋久島特産の焼酎のPRをお願いするという趣旨」で贈ったと説明。さらに、「森山議員を通じて各国会議員等に贈答してもらい、あるいは森山議員の事務所を訪れる多くの国会議員や報道機関の記者等に対する接待の際の賄いに供していただくことなどを期待して贈った」と主張している。
住民「町内にある2社のうち、1社の焼酎だけをPR」
訴訟関係者によると、その町の主張に対し、住民は9月12日に鹿児島地裁で開かれる第4回口頭弁論で、「極めて不平等」「PRではなく単なる贈答」などと反論する方針だ。
「三岳原酒」だけに限定された贈答について、住民は「特定の銘柄だけをPRするために贈答している」と指摘。屋久島町内では、三岳酒造と本坊酒造の2社が数多くの銘柄の焼酎を製造しており、「町内にある2社のうち、1社が製造する焼酎だけをPRするのは極めて不平等」としたうえで、「これでは特定の業者の利益のために公費が使われていることになる」と主張するという。
すでに有名な「三岳」は「PRする必要なし」
また、贈答の目的として、町が主張している「屋久島特産の焼酎のPR」に対して、住民は「屋久島産の焼酎はあらためてPRする必要がないほど有名だ」と反論。荒木町長が屋久島ポストの取材に「(陳情などで)私が行くと、国会議員は(焼酎の)三岳を知っている。『おいしい焼酎があるよね』と必ず言われるので、私も贈らなくてはいけないという気持ちになる」と話していることを踏まえ、「それほど有名で人気のある焼酎について、屋久島町民の公費を使ってPRするというのは極めて不合理」「それは単なる贈答であり、荒木町長が国会議員に快く思われるために贈っているだけ」だと主張するという。
PRを口実にした「単なる贈答」「全額返還を」
さらに、森山衆院議員に対する「三岳原酒」の贈答について、住民は「PRを口実にした単なる贈答であり、PRの必要がない有名な焼酎を贈っている」としたうえで、「屋久島町民が公費を支出するのは不適切であり、その全額を荒木町長は町に返還すべきである」と主張するという。
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