1700万円の海底清掃事業、海底での活動は2日間で合計2時間 屋久島町・環境保全プロジェクト
町、海底と海岸清掃3日間に534万円 ➡ 清掃活動の広報で動画・観光パンフに計1165万円支出
総事業費1700万円の見積書内訳は全面黒塗り
船上から海底清掃に向かうダイバーたち(屋久島町YouTubeチャンネルの動画「海・山・川の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」より)
全国から寄せられた「ふるさと納税」の寄付金1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、海底での清掃活動に費やした合計時間が、2日間で2時間だったことが屋久島ポストの取材でわかった。
 町は総事業費の約1700万円のうち、海底で2日間、海岸で1日の清掃活動に約534万円を使ったうえで、その活動を紹介するための動画制作に約628万円、観光パンフレット発行に約536万円をそれぞれ支出。合計2時間の海底清掃の成果を主に広報するために、総事業費の約7割にあたる約1165万円を支出したことになる。
海底清掃の関連事業として制作された観光パンフレット「るるぶ 特別編集 屋久島」の表紙
入札せず JTBパブリッシングと随意契約
町が実施したのは、海底清掃活動を主体とする「海・川・山の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」で、旅行大手JTBの出版部門を担う関連会社「JTBパブリッシング」が企画を提案。町は2022年7月、複数の事業者による入札は行わず、「特命随意契約」で同社と業務委託の契約を結んだ。
清掃活動、海岸で1時間 海底で2時間
同社が町に提出した「実施報告書」などによると、海底と海岸の清掃は2022年10月26日と27日、11月24日の3日間にわたり島北部の一湊地区で行われ、地元ダイバーら延べ24人が参加した。
 まず、初日の10月26日は海底には潜らずに、海岸で1時間の清掃活動を実施。続く10月27日と11月24日の2日間は、それぞれ午前9時50分から1時間にわたって海底でごみを回収し、潜水時間の合計は2時間だった。また、清掃活動のあとには、ごみの陸揚げや分別の作業なども行われ、それぞれ1日の作業時間は約4時間で、事前調査と3日間の清掃活動に534万2568円を支出した。
屋久島町が制作したユーチューブ動画で紹介された海底清掃活動の様子
総事業費の7割を海底清掃の広報に支出
 その一方、海底清掃の様子などを紹介するため、町は動画共有サービス「ユーチューブ」での公開用に「通常バージョン」(10分26秒)と「短編バージョン」(4分13秒)の動画を制作して、628万4850円を支出。さらに、清掃活動や屋久島の観光情報を伝えるパンフレット「るるぶ
特別編集 屋久島」(12ページ)を536万2500円で2万部発行し、総事業費1698万9918円の約7割にあたる1164万7350円を海底清掃そのものではなく、その広報活動のために支出した。
【動画】屋久島町が制作した動画「海・山・川の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」(短編バージョン)
町、見積内訳は「営業秘密」で非開示
 同事業をめぐって町は10月、屋久島ポストからの情報公開請求を受けて、同社が町に提出した見積書の内訳を「営業秘密に関する情報」などとして、全面黒塗りで非開示。その後に個別の取材に応じ、①海底清掃、②ユーチューブ動画、③観光パンフレットと大きく3項目にわけて、それぞれの事業費を口頭で説明した。
JTBパブリッシングが屋久島町に提出した見積書。町は開示する際に内訳をすべて黒塗りして全面非開示にした
屋久島ポスト、見積内訳の全面開示を要求
それに対し、屋久島ポストは「全国からの寄付金が適切に使われたかどうかを確認するためには、見積書の内訳に記載された情報は必要不可欠であり、全面黒塗りでの非開示は市民の知る権利を侵害することになる」と抗議したうえで、11月28日に再び情報公開請求をして、見積書内訳の全面開示を求めている。

 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											 
																											