競争のない「競争入札」不成立の疑い 屋久島町 新ごみ処理施設
町要領、予定価格を超える入札は「無効」➡ なのに予定価格15億円超でも入札「成立」
落札業者は価格競争なしで「不戦勝」
現在稼働中のごみ処理施設「屋久島町クリーンサポートセンター」(Google Earth より)
競争のない「競争入札」は、公共事業の入札として成立するのか――。
屋久島町の新ごみ処理施設の建設業者を決める入札で、事前公表されていた予定価格を15億円上回る金額が入札された問題をめぐり、同町の「建設工事の予定価格の事前公表に関する要領」で、予定価格を超える入札は「無効」と規定されていることがわかった。
入札では2社のうち1社が予定価格を大幅に超える39億5000万円を入れたが、入札自体は成立したとして、予定価格に極めて近い24億4870万円(落札率99.5%)を提示した他の1社が落札。だが、同要領では1社のみの入札は「中止」と定められており、予定価格を超える金額を入れた1社の入札が「無効」で法的効力を持たない場合は、入札そのものが不成立になる疑いがある。
テスコ、落札率99.5% 予定価格ぎりぎりで入札
屋久島町のウェブサイトなどによると、新ごみ処理施設は2023年度に着工予定で、昨年11月に総合評価方式の一般競争入札が実施され、テスコ(本社・東京都)と川崎技研(本社・福岡市)の2社が参加。事前に公表されていた予定価格(税抜き)の24億6100万円に対して、24億4870万円を入札したテスコが落札した。落札率は99.5%で、予定価格に極めて近い金額での落札となった。
新ごみ処理施設の建設事業を落札したテスコの事業を紹介する同社ウェブサイトの画面
川崎技研、価格競争せずに予定価格15億円超で入札
一方、競合した川崎技研は、予定価格を大幅に上回る39億5000万円を入札。予定価格を超える入札金額では落札できないことを知りながら、あえてテスコと競争することなく、約15億円も高い金額を提示して「失格」となった。だが、川崎技研が入札した行為自体は「有効」とされたため、テスコが落札する形で入札が成立した。
川崎技研が導入した廃棄物処理施設を紹介する同社ウェブサイトの画面
予定価格の事前公表で入札額は高止まり傾向
公共事業の一般競争入札は、国や地方自治体が建設費などで税金を無駄に支出することがないよう、一定の条件を踏まえて、最も安い金額を提示した事業者を選ぶために実施されている。予定価格を上回る金額では落札できないため、各業者はその上限を超えない範囲で争うことになる。発注する国や自治体の方針で、事前に予定価格が公表される場合は、どの業者もできるだけ高い金額で契約しようとするため、入札金額が高止まりする傾向がある。
入札参加の2社は競争せず
今回、屋久島町が実施した入札では、町が設定した予定価格は事前に公表されており、入札に参加したテスコと川崎技研の2社は、24億6100万円が上限になることを知っていた。それにもかかわらず、川崎技研は上限を約15億円も超える金額を提示し、自ら落札できない条件で入札。実質的に2社が競争することなく、「不戦勝」で落札したテスコが町と契約することになった。
新ごみ処理施設建設の総合評価方式一般競争入札の総合評価点。川崎技研は技術面ではテスコより高評価を得ていたが、価格評価で「失格」とされた(入札審査講評より)
町要領、予定価格を超える入札は「無効」と規定
果たして、そんな競争がない「競争入札」が認められるのか?
そこで、予定価格を事前公表した際のルールを定めた「屋久島町建設工事の予定価格の事前公表に関する要領」をみると、次のように規定されている。
<第6条 事前公表対象工事に係る入札については、屋久島町契約規則(平成19年屋久島町規則第45号)に定めるもののほか、次に掲げる事項を条件として入札を執行するものとする。
(1)入札者が2人に達しないときは、入札を中止する。
(2)入札回数は1回とする。
(3)予定価格を超える価格による入札は、無効とする。
(4)前条に規定する工事費内訳書の提出を求められた場合において、これを提出しなかった入札参加者の行った入札は、失格とする。>
この要領を踏まえると、予定価格を超える川崎技研の入札は「無効」となり、入札した行為自体に法的効力がなかったことになる。その結果、入札に参加したのはテスコ1社となり、要領で入札を中止とする条件と定めた「入札者が2人に達しないとき」に該当するため、入札そのものが不成立となる。
町「入札行為そのものは無効ではない」
川崎技研の入札について、ごみ処理施設を担当する町生活環境課の計屋正人課長は取材に対し、「入札行為そのものが無効ではなくて、あくまで入札書を入れたところが無効となる」と説明。町が「無効」ではなく「失格」と判断した理由については、「法律行為的に意思表示はあったが、結果として効力がなくなり、落札候補者にはなれないという意味で失格と判断した」としている。
屋久島町ごみ処理施設整備事業者選定委員の一覧(入札審査講評より)
無効とは「最初から効果を生じない状態」
「無効」と「失格」。町の見解では、両者はまったく同じ意味を持つことになるが、ネットで辞書を検索すると次のように説明されている。
無効=法律行為や意思表示があったものの、その有効要件を満たさないため最初から効果を生じない状態。
失格=競技や試験において、参加している競技者ないし試験などの受験者の参加資格を途中で剥奪し、または後から対象者があげた成績を取り消すこと。
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これは、どうみてもデキレースでしょ?
競争入札の形だけ作ったヤラセ。
問題にもならないだけで、公共事業ではこのようなやり方が横行しているのでは?