町法務事務専門員、海底ごみの廃棄費用「実費精算すべき」 屋久島町・環境保全プロジェクト
JTBパブリッシング、総価契約を理由に廃棄実費の公表を拒否 ➡ 法務事務専門員「総価契約だから精算の必要はない」との見解に立つべきではない
【左上、右下】海底清掃で回収されたごみの写真。屋久島町の委託業務として、業者が配信したウェブサイト記事に掲載されている(ocean+α「ふるさと納税で屋久島の海をきれいに! ダイバーたちが世界遺産の海を次世代に繋ぐ」より)【右上】JTBパブリッシングが町に提出した見積書【左下】同社が制作した屋久島の観光情報などを紹介する冊子の表紙
ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、屋久島の観光情報などを伝える冊子や動画の制作費に支出された問題――。
同事業の予算に計上された海底ごみの廃棄費用をめぐり、町の顧問弁護士的な役割をしている法務事務専門員が、実際に回収したごみの量に従って「実費精算すべき」との見解を町に示していたことがわかった。これまでの取材に対し、業務を請け負ったJTBパブリッシング(本社・東京)は、事業の契約上は実費精算の必要はないと主張して、廃棄実費の公表を拒んできたが、その判断が法的に誤っていた可能性が出てきた。
見積書に「終了後実費精算」と明記も未精算
この事業では、旅行大手JTBの出版部門を担う同社が約1700万円の総事業費を提示して、町と特命随意契約を締結した。その際に同社が示した見積書には、「ゴミ回収廃棄費用」を計100万円として、「単価5万円」と「数量20」(1トン袋20個分)と記載。さらに、その上段には「※下記は、終了後実費精算」と書かれ、すべての事業が終わったのちに、実際に回収した海底ごみの量を踏まえて、実費精算することになっていた。
ところが、同社が事業終了後に提出した「実施報告書」では、実際に回収した海底ごみの量は示されず、廃棄実費も報告されなかった。
JTBパブリッシングが町に提出した見積書。「ゴミ回収廃棄費用」や「交通宿泊費」の上には「※下記は、終了後実費精算」と記載されていたが、実際には未精算のままになっている(黒塗りは町が非開示とした部分。モザイクと赤丸は屋久島ポストが加工)
廃棄実費と海底ごみの量、取材に答えず
そこで、屋久島ポストは今年2月、同事業が寄付金で実施されていることを踏まえて「事実確認として、回収したごみの量と廃棄実費を教えてほしい」と要望した。それに対し同社は、この事業の業務委託契約が単価や数量に左右されない「総価契約」であることを理由に、廃棄実費については回答を拒否。ごみの量については、海底清掃業務を再委託した別の業者が「適正に管理している」と説明するに留まっていた。
見積書は「実費精算する旨を明確に定めたもの」
屋久島ポストが町の情報公開制度で入手した行政文書によると、見積書にある「※下記は、終了後実費精算」との記載について、法務事務専門員は町に対し「実際上契約内容についての変更があり得ることを前提にその場合における精算義務を定めたものである」と説明。さらに、実際に回収した海底ごみの量が、見積書にある「数量20」と違う結果になった場合には、この見積書について「実費精算する旨を明確に定めたものといわざるを得ない」と指摘したうえで、「総価契約だから精算の必要はない」との見解に立つべきではないとした。
屋久島町が開示した行政文書の一部。見積書にある「ゴミ回収廃棄費用」について、法務事務専門員の見解が示されている(赤線は屋久島ポストが加工)
JTBパブリッシング、町に回答しないまま放置1カ月超
この事業で回収したごみの廃棄費用をめぐっては、荒木耕治町長が3月11日の町議会一般質問で、JTBパブリッシングに廃棄実費を確認したうえで、町議会に報告すると答弁。だが同社は、4月20日時点で町からの問い合わせに対して回答しておらず、1カ月以上にわたって問題を放置し続けている。