海底清掃問題

2024年度の関連予算、900万円から160万円に大幅減額 屋久島町海底清掃事業

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特定業者の提案で900万円の予算額を決定 町議、参考見積もりのない予算額では「公平な競争入札は不可能」 町、740万円を削減して事業費160万円に

環境に配慮した潜水業者を認定する「グリーン・フィンズ」
海底清掃

【上左】2023年度の海底清掃事業を請け負った株式会社「オーシャナ」のロゴ(同社ウェブサイトより)【上中、右】屋久島町「ふるさと納税」と屋久島町のロゴ(町ウェブサイトより)【下】2022年度の事業で海底ごみを回収するダイバーたち(屋久島町YouTubeチャンネルの動画「海・山・川の繋がりで豊かな屋久島の自然を守るプロジェクト」より)


 ふるさと納税で「屋久島の自然を守って欲しい」と寄付された
1700万円を活用して、屋久島町が2022年度に実施した海底清掃を主体とする環境保全事業で、総事業費の大半が海底清掃そのものではなく、屋久島の観光情報などを伝える冊子や動画の制作費に支出された問題――。

 この事業の3年目となる2024年度の関連予算をめぐり、環境に配慮した潜水業者を認定する取り組み「グリーン・フィンズ」に対する予算額が、当初の900万円から160万円に減額された。特定の一業者からの提案で予算額を決めたのは不適切だとして、町議会3月定例会で予算の削減を求める修正案が出されたためで、町はいま開会中の12月定例会に補正予算案を提出。担当課が交通宿泊費や人件費などを大幅に見直したとみられ、当初予算から740万円が削減された。

 グリーン・フィンズはサンゴ礁の保全を目的に、環境に配慮した潜水のガイドラインを遵守する潜水業者を認定する取り組み。国連環境計画(UNEP)が始めたもので、現在は英国の「リーフワールド財団」が運営している。
観光協会サイト
「グリーン・フィンズ」について紹介する屋久島町の特設サイトの画面

3月議会で予算削減を提案も反対多数で否決

 この取り組みを2024年度に町内で実施するため、町は3月に開かれた定例会に900万円の事業費を盛り込んだ予算案を提出。それに対し、海底清掃事業の問題を指摘している渡辺千護町議が予算修正案を出し、事業費の全額を削減するように求めた。

 予算修正案を出すにあたり、渡辺町議が説明した提案理由は次のとおりだった。

<事業の予算案を作成する際に、担当課は複数の業者から参考見積もりを取っていない>

<2023年度の事業を委託した潜水業者「オーシャナ(本社・東京都中央区)からの提案を参考にして、担当課が900万円の予算額を決めた>

<複数の業者から参考見積もりを取ることなく、内々に特定業者から受けた提案で決めた予算額を前提にした競争入札では、入札に参加した全業者の「公平性」を保つことはできない>

<入札のあり方を定めた地方自治法などの各種法令に違反する可能性もある>


【動画:3分54秒~】海底清掃事業をめぐる予算修正案の提案理由を説明する渡辺千護町議(2024年3月21日、屋久島町議会YouTubeチャンネル)

 この修正案に対し、町議会が反対多数で否決したため、グリーン・フィンズ900万円の予算額で実施されることになっていた。

町、12月議会の補正予算案で740万円を削減

 ところが、町は1211日に開会した12月定例会で、この事業の予算を900万円から160万円に減額する補正予算案を提出。当初予算から740万円を削減した理由として、担当課は3月定例会で予算修正案が出されたことを踏まえ、実施期間や回数を見直すなどして減額したと説明した。

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