【Key Word】住民訴訟 鹿児島県屋久島町・補助金不正請求事件
鹿児島県屋久島町の水道工事をめぐる補助金不正請求事件で、町は約1668万円を国に返還して町財政に損害を与えたとして、同町の住民が8月2日、荒木耕治町長に対し、町長や副町長、担当課長に全返還額の賠償請求をするよう求める住民訴訟を鹿児島地裁に提訴しました。工事が完成していないにもかかわらず、町がすべての工事が終わったとする虚偽報告をして、国から補助金の返還命令を受けた責任を問う裁判になります。
それでは、この住民訴訟とは、どんな制度なのでしょう。
住民が提訴できる民衆訴訟 個人に利益なし
市町村など地方公共団体の財務会計上の違法行為について、住民が地方公共団体の財産を守るために提起できる訴訟です。その自治体の住民であれば、誰でも提訴できる民衆訴訟の一つで、もし住民が勝訴すれば、市町村などの財産が守られることになります。ただし、訴訟に勝ったとしても、住民が個人的に利益を得ることがない公益訴訟であり、地方自治体などの財政上の不正や腐敗を防ぐための裁判になります。
住民監査請求を踏まえた訴訟
自分が暮らす自治体であれば、誰でも提起できる住民訴訟ですが、実際に裁判所に提訴する前には、大きな条件が一つあります。住民が違法の疑いがあるとする財務会計上の行為について、まず初めに住民監査請求をしなくてはなりません。そして、その監査結果に不服がある場合に住民訴訟を提起することになります。
つまり、すべての住民訴訟は住民監査請求を経たうえでないと、提訴することができないのです。
被告町長に対し、職員に賠償請求するように求める訴訟
住民訴訟には四つの方式があり、今回は屋久島町の首長である荒木町長を被告にして、命令権者として、違法行為をした職員に賠償請求するように求める「4号訴訟」になります。
訴状では、国に虚偽報告をして、その事実を放置して隠蔽したとして、荒木町長と日高豊副町長、工事を担当した生活環境課の矢野和好課長(当時)に賠償請求することを、被告である荒木町長に求めています。職員個人を被告にすることができないため、町長自身に対する賠償請求についても、被告の荒木町長に対して、賠償請求するように求めることになります。
住民訴訟の4号訴訟に関するチャート解説(総務省資料)
住民勝訴で首長に賠償命令も
全国市民オンブズマン連絡会議のウェブサイトによると、住民訴訟で勝った場合の事例として、裁判所が首長らに対して賠償命令を出したケースが複数あります。
例えば、2001年3月20日に出された大津地裁の判決では、滋賀県志賀町が新庁舎完成式の出席者130人に各5000円の商品券を「記念品」として配布したのは違法だとして、同町長に対して73万円の返還命令が出されました。
また、2001年3月22日に出された福岡地裁の判決では、北九州市が支出した食糧費で、1人あたり5000円を超える支出は原則として違法だとして、同市長ら71人に対して1340万円の返還命令が出されています。
■参考サイト
・総務省資料「住民監査請求・住民訴訟制度について」
https://www.soumu.go.jp/main_content/000071219.pdf
・オンライン辞書「コトバンク」 住民訴訟
https://kotobank.jp/word/%E4%BD%8F%E6%B0%91%E8%A8%B4%E8%A8%9F-77433
・フリー百科事典「ウィキペディア」 住民訴訟
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8F%E6%B0%91%E8%A8%B4%E8%A8%9F
・全国市民オンブズマン連絡会議「住民訴訟の勝訴判決リスト」
http://www.jkcc.gr.jp/data/00068.html
屋久島を不正の島と見られないためにも、町長及び職員、町議の行為を、みんなの目の前に晒さないと駄目だと思ってます。
応援してます。頑張っていただきたいです。
このように、学びを提供していただけるのも、このサイトの良いところですね。
勉強になりました。ありがとうございました。