取材後記

【取材後記】はた迷惑な町長の贈り物/編集委員会

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荒木町長「官官接待」の教訓を学ばず 国会議員らは困惑

取材後記20221016

 屋久島町の荒木耕治町長が国会議員や鹿児島県知事らに贈答した交際費は、過去5年間で370万円にもなる。屋久島町民の公金を使い、これだけ多額の焼酎や果物などが贈られたのであれば、受け取った側はどのように感じているのだろうか。

 そこで、それぞれの贈答先に取材をしてみると、どこからも「困惑」の反応が返ってくる。

「今どき、公金で季節の贈答をしている自治体なんてない」「町長個人からの贈答だと思っていた」といった声が聞かれ、なかには「いずれ答えます」と言ったきりのケースも。鹿児島県秘書課に至っては、知事や副知事に贈答があったことを知らず、その事実確認をするだけで1カ月以上もかかり、最終的な回答は11月半ばの予定だという。

 つまりは、荒木町長が公金で贈答していることを知って、対応に困惑しているようなのである。

地方自治体が官僚をもてなす「官官接待」

 その背景にあるのは、1990年代後半に問題となった「官官接待」だろう。地方自治体の職員が予算や補助金に関する折衝で有利な扱いを受けようと、中央省庁の官僚を料亭などで接待した問題が次々と明らかになり、公費の不正支出に対する批判が全国的に高まった。その金額は年300億円に上るともいわれ、国家予算を一手に握っていた大蔵省は解体され、財務省と金融庁に再編。地方自治体などからの接待や贈答を規制する国家公務員倫理規程が制定されるきっかけにもなった。

 この官官接待の問題を受けて、各地方自治体は交際費を支出した相手先や内容をウェブサイトで公開するなどして、贈答や接待に関する支出について、市民の疑念を払拭する動きが広がったのである。


【動画】屋久島町長の交際費について町議会で答弁する日高豊副町長(2022年9月13日、同町議会YouTubeチャンネルより)

「贈答」と称した「賄賂」

 その流れのなかで、化石のように取り残されたのが、この屋久島町である。

 町長交際費から370万円分もの贈答をしても、相手先の氏名は黒塗りで公開を拒否し、支出記録に贈答した理由も記載していない。さらには、贈答で「信頼関係」を築いたという国会議員の助けを借り、有利な補助金や地方債の恩恵が受けられたと主張。荒木町長と日高豊副町長は議会答弁で、贈答によって「町に大きなメリットがあった」「町益を確保した」と胸を張っている。

 だが、これでは官官接待とまったく同じ構図で、町民には「贈答」と称して、実は「賄賂」を渡したと認めているようなものである。

 あの官官接待が招いた大蔵省の解体から20年余り。その教訓から何も学ばなかった荒木町長は、公金で多額の贈答を続けているが、贈られた国会議員らの間では困惑の声が広がっている。

 そして、私たち町民にとっては無駄な公金の支出であり、実にはた迷惑な町長の贈り物である。

【動画】屋久島町議会の一般質問で、屋久島ポストの報道を否定する荒木耕治町長(2022年9月13日)=前半(屋久島町議会YouTubeチャンネルより)。事前取材で森山衆院議員への贈答を認める荒木耕治町長=後半

■屋久島町長交際費問題の記事一覧

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  1. 日高千賀子

    公費=税金の予算で
    贈答品を購入していたのに、
    キチンと計上されていないとは、
    使い方が間違ってる
    もしくは
    町の経理が正常に行われて
    ないんですね。

  2. 無知ゆえの恥ずかしさ

    副町長の議会答弁には驚き、呆れるばかりです。
    執行部よりの議員への説明だったら満点です。
    ユーチューブで議会は公開されているのは百も承知のはず。
    こんな幼稚な子供だましな説明で町民を納得させられると思っているのでしようか?
    思っているとしたら、まさしくその任にあらず、無知過ぎます。
    荷が重すぎることは明らかです。
    恐らく、国会議員の先生の事務所もこの映像は見ていることでしよう。恥ずかしい。

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