【視点】屋久島町議会は「安房総合センター」を見捨てるのか 宮之浦・多目的交流センター整備事業

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町議会、「安房大ホール存続」求める住民陳情に「NO 町、宮之浦の多目的交流センターの本体工事費に22億5000万円

建設適地の議論ないまま計画先行
安房センター
屋久島町の安房地区にある町総合センターの外観

 屋久島北部の宮之浦地区で、屋久島町が「多目的交流センター」の建設を計画している。最終的な総事業費は未定だが、本体工事費だけでも225000万円。2028年度の完成をめざし、コンサートや演劇、スポーツができる「ホール兼アリーナ」や図書室などが整備され、屋久島町の「顔」となる文化・スポーツ施設になるという。

あの新庁舎よりも高額な建設費

 思い起こせば、2019年に完成した役場新庁舎の本体工事費は20億円。建設用に取得した民有地の購入費や、駐車場などの周辺整備費を含めた総事業費は24億円にもなった。そのため、高額な事業費に驚いた大勢の住民からは、建設計画に猛反対する声が上がった。そして、その声は荒木耕治町長に対するリコール(解職請求)運動にまで発展し、町政が大混乱したことを記憶する住民は少なくないだろう。

 この新庁舎と比べると、今回の多目的交流センターの建設費はさらに高額だ。物価高騰の影響があるとはいえ、本体工事費だけで新庁舎を25000万円も上回っており、周辺整備費などを加えると、総事業費は25億円前後になるとみられる。
屋久島町役場
2019年に完成した屋久島町役場。総事業費は24億円になり、着工前には建設計画に反対して、荒木耕治町長に対するリコール(解職請求)運動も起きた

住民陳情「安房から文化ホールが逸失しないように」

 そこで気になるのは、島東部の安房地区にある屋久島町総合センターと安房体育館のこれからだ。宮之浦の多目的交流センターのためだけに、22億5000万円以上もの予算を注ぎ込めば、安房にある両施設の維持管理に予算を回せなくなるのではないか。

 そんな不安が広がるなか、屋久島町文化協会の会長が20235月、「安房総合センター大ホールの存続と維持管理について」と題する陳情書を屋久島町議会(石田尾茂樹議長)に提出した。陳情の要旨は、以下の内容だった。

【1】当該ホールを含む安房総合センター建物の維持、修繕を行ってください。

【2】当該ホールの廃止、取り壊し等によって安房地区から同規模の文化ホールが逸失することのないよう、お取り計らいください。

【3】緞帳、空調ならびに雨漏りの修繕、吊物灯体や調光卓等、舞台設備の定期点検および入れ替えを計画してください。

陳情書
屋久島町のウェブサイトで公開されている「安房総合センター大ホールの存続と維持管理について」の陳情内容

町議会、反対多数で住民陳情を退ける

 この陳情に対する町議会の審議と採決が、20243月21日の定例会であった。町議の賛否は大きく二分されたが、最終的に反対8人、賛成7人で陳情は不採択となり、「安房の文化施設を守りたい」と願う住民の声は退けられた。

 つまり、住民の代表である町議会としては、今後は「安房総合センター大ホール」の維持管理に予算を回す必要はないと判断したということだ。さらに、大ホールを備えた文化施設については、将来的に島北部の宮之浦だけに集約することを容認したということである。

新庁舎、旧2町の境界付近に建設

 新庁舎が屋久島空港近くの小瀬田地区に建てられた大きな理由は、同地区が合併前の旧上屋久町と旧屋久町の境界付近に位置することだった。長い議論を経たうえで、多くの住民が平等かつ公平に利用するためには、旧2町から等距離にある小瀬田が「最適地」だと判断されたのである。

 その一方、今回の多目的交流センター整備事業では、これまで町議会などで、建設の適地をめぐる議論が一切なされていない。加えて、現在ある安房の大ホールや体育館について、このまま存続させるのか、それとも取り壊すのか、将来的な方針もまったく決まっていない。
多目的ホール)建設予定地
多目的交流センターの建設予定地と周辺施設(屋久島町の基本計画書より)

いざ気づいたら、宮之浦だけに文化・スポーツ施設か

 そんな中途半端な状態で、町は宮之浦の多目的交流センター建設に少なくとも225000万円を費やすというが、果たして全町11000人の多くが納得するだろうか。いざ気がついたら、大ホールを備えた文化施設だけでなく、町立の体育館までもが、島北部の宮之浦だけに集中することになれば、島南部の住民が大変な不便を強いられることは明らかである。

 屋久島町の「顔」となる多目的交流センターは、島内のどこに建設するのが最適なのか。そして、既存の文化施設や体育館の維持管理はどのようにしていくのか。

 それらの課題について、屋久島町議会は根本から議論することを迫られている。

 陳情に対する各町議の賛否は以下のとおり(敬称略)

「安房総合センター大ホールの存続と維持管理」を求める陳情

【反対】8人

内田正喜

相良健一郎

榎光徳

緒方健太

高橋義友

日高好作

岩川俊広

石田尾茂樹

賛成】7人

渡辺浩

小脇淳智郎

真辺真紀

岩山鶴美

渡辺千護

渡辺博之

大角利成

【欠席】1人

中馬慎一郎

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  1. 安房校区民

    船行以北の町議は反対、安房以南の町議は賛成。
    屋久島町全体の町議なんだから町全体のことを考えてください。
    ただでさえイベントで使える施設が少ないのにどうして宮之浦だけ充実させるんですか?南部の方々も移動が大変です。安房も整備してください。

  2. 元屋久島住民

    反対議員の名前に知っている名前が数名いて驚き。
    まさか、安房校区民が反対しているとは。反対理由を聞きたいところ。
    ただでさえ旧上屋久ばかり充実しているというのにこれ以上どうしたいのか。
    そういえば十数年前の私の代の成人式は会場が宮之浦でした。
    このころは確か安房と宮之浦で毎年会場を交代でやっていたと記憶しています。
    今もそうなのかは分かりませんが、
    総合センターや体育館を存続させないとなると
    成人式に関してだけでも旧下屋久住民だけが何故そんな不便を
    強いられなければならないのか分からない。
    また、今も開催されているかは分からないが、町の文化祭に行くのが楽しかった。総合センターと体育館で開催してくれるから子供だけでも見に行けた。
    友達と待ち合わせて自分の作品が展示されて少し恥ずかしかったり、ステージを見て笑ったり驚いたりそんな経験もここをなくしてしまうと
    相当難しくなってしまう。
    学校、幼稚園、保育園、集落でのイベントでも使うこともできるのに
    なぜ反対するのか。
    住民の事を考えられないのなら町議員なんかやらなくていい。
    町長にへこへこするだけの議員なんていなくていい。
    町長にあんなに問題があるのに何度も再選させてしまう住民にも問題がある。
    選挙はなれ合いじゃない。
    お世話になったからとかそんなことで票を投じては意味がない。
    きちんと公約を読んで話を聞いて誰に任せたら
    未来を明るくしてくれるか考えないと。このままだと屋久島の未来はない。
    超高齢化が進んでいる中どうしても若い世代の意見は反映されにくい。
    負の遺産だけを若い世代に残していくのだけはやめてほしい。
    どういった理由で反対しているのか知らないが、
    宮之浦を充実させることでなにかおいしいことがあるんでしょうね。
    こんなにあからさまではそう思ってしまう。

  3. 安房校区住民

    公共施設だけでなく金融機関も安房には郵便局があるだけで鹿銀、南銀、農協は宮之浦に移転している。イベントの場という観点で考えれば役場本庁舎と同じ地域に計画すべきではないか。宮之浦への一極集中が目に余る。出張所についても統合ということが検討されるであろうが宮之浦は残され安房は廃止されるだろう。

  4. 旧屋久町の人

    反対に入れてる議員は特に何も考えて無いのだろう、まさかの旧屋久町側の議員迄反対とか、一人一人考えを聞いてみたいものだ、銀行も宮之浦、施設も宮之浦、旧屋久町の人間は不平しか出ないだろう、人の流れも偏るだろうね、まじで屋久島の議員はどうしようもない!

  5. 旧屋久町の人

    旧屋久町から議員になり反対してる人間の名前は覚えておこう!いったいどの地域からの票をもらって選挙に勝てたのかと!

  6. Uターン希望

    文化施設の論議は聞こえて来るけど、津波の影響を受けるリスクが高い学校関係は?児童生徒が毎日被害を受けるリスクを減らす方が重要と思います。
     

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